研究課題
基礎研究:子宮体癌16細胞株を用い、分子標的治療薬olaparibの抗腫瘍効果を検討した。50%増殖抑制濃度が100nM以下である感受性株は4細胞株、1000nM以上である耐性株は4細胞株であった。また類内膜腺癌細胞株HEC-6を用い、 olaparib 10μM添加下で、アポトーシスの指標となるPARP切断につき検討したところ、経時的にPARP切断が誘導された。さらに類内膜腺癌細胞株HEC-6を用い、olaparib添加下での細胞培養を行い、olaparibが細胞周期に与える影響をflow cytometory解析したところ、コントロール群でsub-G1期の割合が3%であったのに対しolaparib添加群では24%と著明に増加していた。以上よりolaparibがG2/M期での細胞周期停止とPARP切断の両方を誘導することによって、アポトーシスを誘導することが示唆された。次にPI3KとmTORの両方の阻害作用のある分子標的治療薬DS-7423を用い、卵巣明細胞腺癌9細胞株での抗腫瘍活性を調べたところ、全細胞株において50%細胞増殖抑制濃度が75nM以下であり、感受性があると考えられた。うち3細胞株を用いてBALB/cヌードマウス皮下移植モデルを作成し、DS-7423を経口投与してin vivoでの腫瘍増殖抑制効果を検討したところ、全細胞株のモデルで濃度依存性に増殖抑制効果を認めたが、うちp-AKTの発現レベルの高い2細胞株のモデルで効果が顕著であった。臨床研究:前化学療法歴のある、再発子宮体癌症例5例に対し、書面による同意取得の下アナストロゾール1mgを1日1回経口投与を行った。全症例で重大な有害事象は認められなかった。現時点で5例中3例が効果 stable disease, 2例が progressive diseaseであり追跡中である。
2: おおむね順調に進展している
臨床研究において、当初の予定と比べ若干の症例集積の遅れを認めるものの、基礎研究に関してはin vitroでの増殖抑制効果、細胞周期に与える影響やアポトーシス誘導の有無について検討の上in vivoでの増殖抑制効果の評価へと予定通り進められており、全体として現在のところほぼ研究計画通り達成できていると考えられる。
当初の研究実施計画に従って、基礎研究に関してはcDNAマイクロアレイを用いた薬剤添加により発現が調節される遺伝子群の同定、in vivoにおける腫瘍増殖抑制効果のさらなる検証を進めていく。臨床研究に関しては引き続き症例追跡と追加症例集積を進めていく。
細胞増殖抑制効果や細胞周期に与える影響の検討が順調に進み、使用する器具・試薬の量が予測以下に抑えられた。結果として主として物品費・消耗品費において、既存の設備・器具や試薬の使用で充足できた部分が事前予測より大きくなり、次年度使用額が生じた。
薬剤添加により発現が調節される遺伝子群の同定を進める予定であり、cDNAマイクロアレイ解析予算として使用していく。また、in vivoにおける腫瘍増殖抑制効果の検証に必要な、ヌードマウスの購入・管理費用にも充当する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (21件)
The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/jog.12616
Japanese Journal of Clinical Oncology
巻: 45(1) ページ: 123-126
10.1093/jjco/hyu168
Vaccine
巻: 32(47) ページ: 6233-6239
10.1016/j.vaccine.2014.09.020
BMC Womens Health
巻: 14 ページ: 104
10.1186/1472-6874-14-104
巻: 14 ページ: 82
10.1186/1472-6874-14-82
東京産科婦人科学会会誌
巻: 63(4) ページ: 677-681
巻: 63(2) ページ: 318-322