研究課題
若手研究(B)
子宮内膜症は慢性炎症性疾患であり、好中球の集積がその慢性炎症の形成に関連すると考えられている。一方、子宮内膜症はエストロゲン依存性疾患であるが、炎症とホルモン産生に関する検討は十分でない。プロスタグランジンE2(PGE2)はアロマターゼ(P450arom)の発現を誘導し、エストロゲン産生を増加させる。一方で、IL-4は、Th2サイトカインであるが子宮内膜症の病態において重要な役割を果たしていることが知られている。IL-4が子宮内膜症間質細胞の3β-ヒドロキシステロイド脱水酵素(HSD3B2、重要なエストトゲン産生酵素の一つ)の発現に与える影響について調べた。子宮内膜症間質細胞をIL-4とPGE2で刺激した。JAK3 阻害剤であるCP-690550やHSD3B2 siRNAを添加した。HSD3B2 and P450arom発現は、定量的RT-PCR法を用いて解析した。HSD3B2とP450aromの酵素活性を調べるためDHEAを培養液に添加し、EIA法を用いて培養液中のエストロン濃度を計測した。IL-4はHSD3B2の発現を用量依存性に増加させた。CP-650550はIL-4によって誘導されるHSD3B2 mRNA発現を阻害した。IL-4 とPGE2 は共刺激により、相乗的にHSD3B2 mRNA発現を亢進させた。IL-4はP450arom 発現を亢進させなかったが PGE2は P450arom mRNA発現を亢進させた. PGE2単独でもDHEAからのエストロン産生を亢進させたが、PGE2とIL-4で共刺激することにより、相乗的にエストロン産生を亢進させた。さらにこの亢進したエストロン産生はCP-690550とHSD3B2 siRNAで阻害された。上記により、Th2免疫応答による慢性炎症が、子宮内膜症を増悪させるメカニズムの一端を示すことができた。
3: やや遅れている
慢性炎症による子宮内膜症の増悪の機序の一つを見出すことができた。当初の計画における好中球に関連した研究は(1)の途中であり、ELISA等のdataの追加が望まれる。
1、好中球除去抗体を用いた子宮内膜症における好中球の重要性に関する検討のELISA data解析の途中から実験を予定通り遂行する。
1、好中球除去抗体を用いた子宮内膜症における好中球の重要性に関する検討 において、腹腔内貯留液中のKC、VEGF、MCP1、MIP2αの濃度測定等が未施行であり、予定より遅れているためである。繰り越された金額を用いて、1のELISA測定 2ヒト検体を用いた、子宮内膜症組織への好中球浸潤とそれにより引き起こされる障害に関する検討 3子宮内膜症における新たな治療ターゲットとして、好中球遊走に影響を与えるプロバイオティクスを経口投与し、病巣形成に与える影響をマウスモデルを用い考察する。腹腔内や脾臓におけるサイトカイン濃度測定等の実験を予定通り進める。
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Reproductive Science
巻: epub ahead of print ページ: 不詳
American journal of reproductive immunology
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Jounal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻: 98(4) ページ: 1583 1590