今後の研究の推進方策 |
①血清、脳脊髄液、脳組織の生化学的解析:ELISAおよびHPLCにより、E2、コルチコステロン、セロトニン、TNFαやIL6などのサイトカインの濃度を測定する。 ②海馬、視床下部のmRNA発現およびシグナル伝達解析:ERα, ERβ, GPR30, グルココルチコイド受容体、セロトニン受容体、BDNFなどの神経栄養因子、TNFαやIL6などのサイトカインのmRNA発現をリアルタイムPCRにて検証する。またエストロゲンおよびBDNFシグナル蛋白のリン酸化(PKA, CREBなど)はWestern blotにて検証する。 ③E2経鼻投与の条件設定:E2経鼻投与後、末梢静脈血と中枢CSFでのE2濃度をそれぞれ測定し、中枢選択性の高い至適投与プロトコールを決定する。 ④E2経鼻投与の糖脂質代謝・うつ改善効果についての検討:代謝表現系の解析として、(1)体重測定、(2)糖負荷試験、インスリン負荷試験、 (3)血液生化学検査(E2、アディポカイン、脂質、インスリンなどの測定)、(4)代謝ケージによる測定(エネルギー消費量、自発運動量、摂食量)、(5) 小動物用MRIによる脂肪体積測定(内臓脂肪・皮下脂肪)、各組織重量の測定、(6) 深部体温の測定、を行う。また改善の機序解明のため、肝臓の糖新生律速酵素(G6Pase, PEPCK)発現、脂肪組織で脂肪合成に関わる酵素(LPL, FAS)や脂肪分解に関わる酵素(HSL)、脂肪組織の慢性炎症に関連するTNFα、IL-6などのサイトカイン、MCP-1などのケモカイン、M1マクロファージの指標となるCD11cの発現、褐色脂肪組織の熱産生に関わるUCP1-3のmRNA発現をリアルタイムPCRにて解析する。 ⑤うつ・不安の行動実験および生化学的解析:うつ、不安の行動実験を行い、血清および海馬、視床下部、大脳皮質に対する生化学的検討を①、②と同様に行う。
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