研究課題/領域番号 |
25861481
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
河邉 真也 福井大学, 医学部, 助教 (60579415)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | LRH-1 / SF-1 / PGC-1α / 卵巣顆粒膜細胞 / 黄体ホルモン / 黄体化 |
研究概要 |
プロゲステロンの分泌は、排卵後の卵胞に残る莢膜細胞および顆粒膜細胞が分化した黄体により行われる。排卵に続く黄体化およびプロゲステロン産生には、ステロイドホルモン産生細胞分化のマスターレギュレーターである転写因子SF-1およびLRH-1が重要な役割を担うことが示唆されているが、その分子メカニズムの詳細は明らかではない。黄体機能不全に対する新たな治療法の技術開発を行うことを目的とし、卵巣顆粒膜細胞に特異的に発現している卵巣型LRH-1の機能解析および新たな転写調節因子の同定を行った。 レポーターアッセイを行ったところ、卵巣型LRH-1はステロイドホルモン合成酵素遺伝子であるCYP11A1、HSD3B2、StARのプロモーターに対してSF-1あるいは従来の肝臓型LRH-1と同等の転写活性化能を持つことが明らかとなった。ヒト卵巣顆粒膜細胞腫由来KGN細胞において卵巣型LRH-1をノックダウンすると、SF-1の発現が維持されているにも関わらず、cAMPにより誘導されるCYP11A1およびHSD3B2の発現レベルが著しく減衰した。また、卵巣型LRH-1のプロモーター活性は、転写共役因子PGC-1αがSF-1と協調的に制御していることを明らかにした。 これらの結果から、卵巣顆粒膜細胞においては、SF-1はLRH-1の機能を完全には補完することが出来ず、LRH-1はプロゲステロン合成への寄与が大きいこと、更に、ステロイドホルモン合成酵素遺伝子の転写制御にはSF-1からLRH-1を介する経路が存在することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、卵巣顆粒膜細胞における転写因子SF-1と卵巣型LRH-1の機能差を明らかにし、プロゲステロン合成に重要なLRH-1遺伝子の新たな転写調節因子としてPGC-1αを同定した。これらは、本研究の目標の一つであることから、現在までの達成度はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、卵巣型LRH-1の転写調節機構の解明を行う。ヒト以外の生物の卵巣型LRH-1の保存性を検討し、そのデータを基にして候補となる遠位エンハンサー領域を選定する。候補となる領域をクローニングした後、卵巣型LRH-1のプロモーター領域と結合したコンストラクトを作製し、レポーターアッセイ等によりエンハンサー領域および転写調節因子を同定する。
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