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2015 年度 実績報告書

子宮内膜症由来の卵巣癌発癌進展過程におけるlipocalin2の発現と機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25861484
研究機関信州大学

研究代表者

山田 靖  信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (60646652)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード子宮内膜症性嚢胞 / ROS / CD44v / xCT / 酸化ストレス
研究実績の概要

子宮内膜症は子宮外に子宮内膜が増殖する疾患で、卵巣の子宮内膜症では内部に血液が貯留した子宮内膜症性嚢胞(OEM)がしばしば形成される。OEMの約0.7%は癌化し明細胞癌(CCC)や類内膜癌(EC)が発生するが、特に日本人では、抗癌剤抵抗性で予後不良であるCCCの発生頻度が高いことが問題である。OEMの癌化では鉄イオンの関与が注目されている。すなわち、ヘモグロビンから遊離しOEM内に豊富に蓄積した鉄イオンは、フェントン反応から活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)を発生させ、酸化ストレスを誘導することで発癌に寄与すると考えられている。
Lipocalin 2(LCN2)は鉄輸送蛋白の1つで、炎症や種々の癌で高発現が報告されており、細胞内鉄濃度の調節から様々な機能を発現すると考えられている。我々はこれまでに、正常子宮内膜と比較して子宮内膜癌で発現が増強し、その悪性度増強に関与する因子としてLCN2を見出した。LCN2はその機能上とOEMとの関連が強く示唆されたため、OEMや卵巣癌におけるLCN2の関与を免疫組織染色にて検討したところ、LCN2はOEMやOEMから発生するCCCやECにおいて高発現し、LCN2高発現卵巣癌症例は有意に予後不良であった。そこで今回我々は、LCN2の機能解析を行うために、卵巣CCC細胞株を用いてLCN2と特に鉄イオン、ROSや酸化ストレスとの関係を検討した。
LCN2低発現卵巣明細胞癌株であるES2にLCN2 cDNAを導入してLCN2強制発現株(ES2-LCN2)を樹立した。ES2-LCN2はコントロールと比較し、細胞内の鉄濃度の上昇を認めたが、細胞内のROSや酸化ストレスは低下していた。抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)量に注目したところ、ES2-LCN2はコントロールと比較し細胞内GSH量が多く、細胞内GSH量を調節しているCD44 variant isoform(CD44v)やxCT発現が上昇していた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Lipocalin 2 attenuates iron-related oxidative stress and prolongs the survival of ovarian clear cell carcinoma cells by up-regulating the CD44 variant2016

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Yamada, Tsutomu Miyamoto, Hiroyasu Kashima, Hisanori Kobara, Ryoichi Asaka, Hirofumi Ando, Shotaro Higuchi, Koichi Ida & Tanri Shiozawa
    • 雑誌名

      FREE RADICAL RESEARCH

      巻: 50 ページ: 414-25

    • DOI

      doi: 10.3109/10715762.2015.1134795

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Lipocalin2 enhances the tolerance against oxidative stress of clear cell carcinoma of the ovary by up-regulating the CD44 variant in vitro2015

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Yamada, Tsutomu Miyamoto, Hiroyasu Kashima, Hisanori Kobara, Ryoichi Asaka, Hirofumi Ando, Shotaro Higuchi, Kosuke Ida and Tanri Shiozawa.
    • 学会等名
      The 4th Birnnial Meeting of ASGO
    • 発表場所
      Lotte Hotel, Seoul, Korea
    • 年月日
      2015-11-12 – 2015-11-14
    • 国際学会
  • [学会発表] Lipocalin2は卵巣明細胞腺癌細胞の酸化ストレス耐性を増強する2015

    • 著者名/発表者名
      山田靖、宮本強、小原久典、浅香亮一、安藤大史、樋口正太郎、鹿島大靖、塩沢丹里
    • 学会等名
      第67回日本産科婦人科学会学術講演会
    • 発表場所
      神奈川県横浜市 パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-04-09 – 2015-04-12

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公開日: 2017-01-06  

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