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2014 年度 実施状況報告書

抗コプロポルフィリン抗体を用いた羊水塞栓症の組織学診断および迅速診断法開発の検討

研究課題

研究課題/領域番号 25861485
研究機関浜松医科大学

研究代表者

古田 直美  浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (80647595)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード胎便 / 抗亜鉛コプロポルフィリン抗体
研究実績の概要

1)羊水混濁の組織学的客観的な診断基準の確立 羊水混濁の重症度は分娩時の羊水の肉眼的な印象によってなされ、客観的な診断基準は確立されていない。一方亜鉛コプロポルフィリンは胎便中に特異的に存在する。我々は亜鉛コプロポルフィリンに対する特異的なモノクローナル抗体を作成し、卵膜、胎盤、臍帯の免疫染色に応用し胎便被曝である羊水混濁の有無を組織学的に診断することを可能とした(Furuta et al., Placenta 33; 24-30, 2012)。抗亜鉛コプロポルフィリン抗体を用いた免疫染色により羊水混濁の重症度に関して客観的なステージ分類を提案した。胎盤、卵膜、臍帯においてHE染色と抗亜鉛コプロポルフィリン抗体の免疫染色を行い羊水混濁の客観的な組織学的診断基準の確立を目指している。
2)羊水混濁が陣痛発来、前期破水に及ぼす影響の解析 研究により分娩時に肉眼的に羊水に混濁を認めない症例であっても多くの例で卵膜は胎便被曝を受けていた。この現象より、羊水中に排出される胎便が、胎児成熟のシグナルとして卵膜や胎盤に作用する可能性を想定して、早産、正期産、過期産の胎盤卵膜を組織学的に検討した。経腟分娩において前期破水のなかった症例とと前期破水のあった症例を比較すると後者ではCAMがなく、胎便汚染があるものが多く存在し、内因性の前期破水があることが示された。
3)新生児死亡で剖検となった症例の肺組織の検討 過去30年間に浜松医科大学で新生児死亡あるいは胎児死亡症例に対して行われた剖検において組織が保存されている症例について、肺組織に亜鉛コプロポルフィリンの免疫染色による検討を行う。炎症所見と低酸素・虚血の所見ならびに産科と新生児科の臨床医録を後方視的に検討し、胎便吸引と新生児死亡の病態の関連の有無を検討した。胎便成分がマクロファージに貪食された形で免疫染色される症例と肺のマクロファージとは無関係に胎便成分が検出される症例が存在した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

検体は確保できているが解析が困難な症例が存在するため。

今後の研究の推進方策

1)羊膜細胞は胎便に直接的に曝露することから、培養羊膜細胞に亜鉛コプロポルフィリンあるいは分画化した胎便成分を添加してプロスタグランジンE2(陣痛発来を想定して)の産生やマトリックスメタロプロティネース発現(破水を想定して)への影響を検討する予定である。
2)羊水塞栓症を発症し母体死亡となった症例の肺組織の検討 浜松医科大学では日本産婦人科医会の後援により1993年から羊水塞栓症血清検査事業を行っており、全国より羊水塞栓症で死亡した母体の剖検肺組織が送られてくる。これらの組織において抗亜鉛コプロポルフィリン抗体による胎便特異的な免疫染色を行い、胎児機能不全、心肺虚脱などの臨床経過との関連を後方視的に検討する予定である。既に予備的検討を開始しており、従来胎児成分としてムチンを染色する目的で用いられてきたアルシアンブルー染色に比べて、抗亜鉛コプロポルフィリン抗体による免疫栓塞は胎便成分を極めて明瞭に検出できることが明らかとなっている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Morphological characteristics of the placental basal plate in IVF pregnancies: a possible association with the amount of bleeding in delivery2015

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nakamura,Chizuko yaguchi,Hiroaki Itoh Ryoko Sakamoto,Takako Kimura,Naomi Furuta,Toshiyuki Uchida,Naoaki Tamura,Kazunao Suzuki,Kazuhiro Sumimoto,Yumiko Matsuda,Toshiki Matsura,Mitsura Nishimura,Naohiro Kanayama
    • 雑誌名

      Human Pathology

      巻: inprint ページ: inprint

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.humpath.2015.04.007

    • 査読あり
  • [学会発表] Possibility of meconium connected with onset of labor‐Examination with immunostaining of zinc coproporphyrin-Ⅰ(ZnCP-Ⅰ)‐2015

    • 著者名/発表者名
      Naomi Furuta
    • 学会等名
      日本産婦人科学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-04-09 – 2015-04-12

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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