研究課題
1)羊水混濁の組織学的客観的な診断基準の確立 亜鉛コプロポルフィリンに対する特異的なモノクローナル抗体を作成し卵膜、胎盤、臍帯の免疫染色に応用し胎便被爆である羊水混濁の有無を組織学的に診断することを可能とした(Furuta et al.,Placenta2012)。2)羊水混濁が前期破水、陣痛発来に及ぼす影響の解析 研究により分娩時に肉眼的に羊水に混濁を認めない症例であっても多くの例で卵膜は胎便被爆を受けていた。経膣分娩において前期破水のなかった症例と前期破水のあった症例を比較すると後者ではCAMがなく胎便汚染があるものが多く存在し内因性の前期破水があることが示唆された。分娩発来のプロセスにおいて脱落膜はプロスタグランジンF2αの主要な産生組織と考えられている。自然に分娩が発来して経腟分娩に至った症例および分娩発来前に選択的に帝王切開となった症例について胎盤基底盤の脱落膜組織における胎便成分有無について比較検討した。経腟分娩は全例において抗ZnCP-Ⅰ抗体陽性所見を認めた。一方選択的帝王切開症例56%では陽性所見を認めたが44%では陰性であった。プロスタグランジンF2αの産生経路にかかわるCOX-2に対する免疫染色では脱落膜において抗ZnCP-Ⅰ抗体と同様の部位での陽性所見が認められ胎便は胎児成熟のシグナルとして分娩発来に何らかの影響をおよぼしている可能性が示唆された。3)新生児死亡で冒険となった症例の肺組織の検討 過去30年間の浜松医科大学で新生児死亡あるいは胎児死亡症例に対して行われた剖検において組織が保存されている症例についって、肺組織に亜鉛コプロポルフィリンの免疫組織染色による検討を行った。胎便吸引と新生児死亡の病態の関連の有無を検討した。胎便成分がマクロファージに貪食された形で免疫染色される症例と肺のマクロファージとは無関係に胎便成分が検出される症例が存在した。(Furuta et al.,Arch Gynecol Obstet2013)
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