研究課題
若手研究(B)
目的:候補遺伝子アプローチとして、ウイルス感染防御の作用を有するdefensin遺伝子コピー数多型と子宮頸癌との関連を明らかにする。方法:候補遺伝子アプローチとして、ウイルス感染防御の作用を有するdefensin遺伝子コピー数多型と子宮頸癌との関連解析:子宮頸癌204例(子宮頸癌群)と健常女性200例(コントロール群)を対象とした。コピー数多型を有するdefensin beta 4遺伝子(DEFB4)を標的遺伝子とし、ヒトゲノム中に必ず2コピー存在するアルブミン遺伝子(ALB)を基準の遺伝子として選択した。ALBおよびDEFB4それぞれのprimerとTaqMan probeを設計した。ALBが2コピーかつDEFB4が3コピーのゲノムDNAをもとに、DEFB4がそれぞれ2、3、4、5、6、7および8コピーのものをそれぞれ同定して検量線を作成した。Comparative cycle threshold(ΔΔCT)法による相対定量を行い、各検体のDEFB4コピー数を測定した。統計学的解析にはt検定を用い、p値が0.05未満の場合に両群間に有意差ありと判定した。成績と考察:DEFB4コピー数多型と子宮頸癌との関連解析:年齢、BMI、分娩歴、喫煙歴および低用量ピル内服歴について、子宮頸癌群とコントロール群とでは有意差は認められなかった。子宮頸癌群におけるDEFB4コピー数の平均値(標準偏差値)は4.25(1.25)コピーであった。一方、コントロール群におけるそれは4.69(1.45)コピーであり、両群間に有意差を認めた(p=2.77e-4, t-test)。DEFB4遺伝子が4コピー以下の集団のオッズ比(95%信頼区間)は2.02(1.36-3.02)であり、5コピー以上の集団のオッズ比である0.49(0.33-0.74)より相対的に高かった。本研究では、新たにDEFB4コピー数の減少と子宮頸癌の発症リスクとの関連を見いだした。すなわち、DEFB4コピー数の減少は、HPV感染に対する防御作用が低下することに起因していると考えられた。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画どおり、defensin遺伝子多型の定量系を確立し、defensin遺伝子群のコピー数多型と子宮頸癌の関連を見出した。そしてその成果を査読のある英文誌に発表した。また、血漿と頸部組織についても予定通り検体を集積した。以上より、平成25年度の研究計画は全て実行された。
1. 患者血漿・子宮頸部組織の収集を行う。2. defensin遺伝子コピー数の違いによる血漿・子宮頸部におけるdefensin発現解析を行う。3. 宿主とウイルスに存在する遺伝子多型と臨床所見との関連を明らかにする。4.defensin遺伝子群を制御するmiRNAを同定する。次世代高速シークエンスを用いてdefensin遺伝子群の発現mRNAの異なる症例を比較し、発現プロファイルの異なる(増加・低下している)miRNAを特定し、defensin遺伝子群の発現を制御するmiRNAとして統計学的解析・考察を行う。
実験計画は順調に進み、検体を集積している。一方で、本年度内の試薬類購入は予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。本年度に集積した検体を次年度に解析するため、次年度の試薬代に使用する計画である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Journal of Medical Virology
巻: - ページ: -
10.1002
Journal of Human Genetics
10.1038
Gynecologic Oncology
巻: 132 ページ: 715, 721
10.1016
Prenatal Diagnosis
巻: 34 ページ: 345, 349
巻: 85 ページ: 2093, 2100
巻: 58 ページ: 250, 253
巻: 33 ページ: 214, 222
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/gyneclgy/