初年度である平成25年度は、子宮頸癌で高発現するmiRNAを同定するため、準備実験として行っていた3D gene(東レ)の解析を続行した。 HPV16型陽性かつ扁平上皮癌の子宮頸癌患者の担癌状態での血清と、無病再発3年以上の治療後血清からmiRNAを生成し、3D geneによって網羅的に、治療前後での変動を調べた。3D geneの結果のなかで、治療後に減少したmiRNAのうち減少率が高かったもの15種の中から、文献考察を交えて12個の候補miRNAを選択した。これらの候補miRNAについて、患者5名で治療前後の血清中miRNA量を定量的PCR法で測定し、5人中3人以上で1/2以下に減少しているmiRNAとして、3つの候補miRNAを同定した。この3つのmiRNAについて、活性増幅実験と活性抑制実験を行うため、それぞれの試薬を購入した。また、実験を実施する上で、適切な細胞株を検討するため、8種の子宮頸癌細胞株での3つの候補miRNAの発現を検討し、さらに運動能・浸潤能の高い細胞株としてSKG-IおよびSKG-IIIbを選択した。これらの細胞株を用いて、まず活性抑制Inhibitorを導入し、細胞増殖・浸潤・転移に与える影響を現在検討している。 今後は、まずInhibitor実験で、細胞の悪性形質が抑制されたmiRNAを選択し、さらに活性増幅実験で悪性形質が誘導されるかを検討し、候補miRNAをさらに1-2個に絞り、そのターゲットとなる遺伝子の同定を行う。
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