研究課題/領域番号 |
25861511
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
吉江 幹浩 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50434014)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 脱落膜化 / 子宮内膜腺の成熟 / EPAC / Calreticulin |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度に引き続きヒト子宮内膜間質細胞においてEpac2により発現制御を受ける因子として同定した小胞体シャペロンタンパク質カルレチキュリン(CRT)のラット妊娠子宮における発現調節と着床・脱落膜化との関係について解析を行った。妊娠初期子宮では着床部位でCRTの発現が劇的に増加すること、その発現高進は、卵巣ステロイドによる直接的な作用ではなく子宮間質細胞の脱落膜化と密接に関連していることを明らかにした。また、ラット子宮間質細胞を単離・培養し、CRT発現をノックダウンするとメドロキシプロゲステロンとcAMPアナログの同時処置による脱落膜化マーカー(プロラクチン、脱落膜/プロラクチン関連タンパク質)の発現誘導が減弱すること、さらに、妊娠子宮より単離した間質細胞のCRT発現をノックダウンすると脱落膜細胞で形成されるギャップジャンクションの重要な構成因子であるコネキシン43の発現が減少し、コネキシン43のクラスター形成が抑制されることを見出した。 また、ヒト子宮内膜間質細胞の脱落膜化とともに胞胚受容能の獲得に重要である子宮内膜腺の成熟化におけるEpac2とCRTの役割についても検討した。ヒト子宮内膜間質細胞と同様に腺上皮細胞株においてもEpac2によりCRTの発現が正に調節されていることを確認した。また、cAMPアナログ処置による白血病抑制因子(LIF)やシクロオキシゲナーゼ2(COX2)といった着床関連因子の発現がEpac2とCRTの発現抑制により減弱するという新知見を得ることもできた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたEpacとその下流シグナル因子の脱落膜化における役割の解明について着実に成果が得られており、また、胞胚受容能の獲得に関わる子宮内膜腺の成熟におけるこれら因子の生理的意義についてもアプローチできているため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初予定していたEpacとPKAシグナル伝達経路の関係を明らかにし、子宮内膜間質細胞の脱落膜化におけるcAMPシグナル伝達ネットワークの解明に向けてより詳細な解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していたヒト子宮内膜間質細胞の脱落膜化に関わるCRT以外の新規EPACAシグナル・PKAシグナル関連因子の同定とその機能解析を進めることができなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ヒト子宮内膜細胞の分化におけるEPACとPKAシグナル並びにそのシグナル関連因子を同定し、その生理的意義を明らかにする予定である。
|