本研究課題2年目にあたる平成27年度は、平成26年度に引き続き、研究協力者である石川源講師の指導のもと、分娩時臍帯血から血清分離後、エクソソーム抽出試薬を用いてエクソソームを回収。total RNAを得て、miRNAアレイを用いたマイクロRNAの解析を継続したが、前年度に引き続き、RNAの収量が少ないため、血清からのエクソソーム抽出に問題があると考え、収量増加のための基礎実験を繰り返した。 繰り返す抽出操作を経て得られたサンプルは、抗CD63抗体によるImmunoblottingによって、エクソソームが抽出されていることを確認した。 本研究課題の最終年度として以下の成果を得た。すなわち、抽出キットを用い、得られたエクソソームよりtotalRNAが抽出された。miRNA標識試薬により標識した後、アレイスキャナにより検出したmiRNAシグナルは、Tukey’s biweight algorithmにより発現強度が示され、臍帯動脈、臍帯静脈ともに、miRNAを検出した。 Gene Avg Signal (log2) により示された発現強度として、とくに強く発現している特定のmiRNAが確認された。また、One-Way Between-Subject ANOVAにより、臍帯動脈血由来と臍帯静脈血由来との比較において、特異的に強く発現しているmiRNAについて検討を行った。良好にエクソソームが回収されたサンプルからは、臍帯動脈血、臍帯静脈血ともに、C19MC (第19番染色体microRNAクラスター) 由来のmicroRNA 49種類のいずれの発現も認められた。これにより、母体・胎盤・胎児間のmiRNA loop の可能性が示唆された。
|