FFPE組織の子宮頸部正常上皮と扁平上皮癌との比較解析によって、高発現レクチンを前年度までに同定し、扁平上皮癌に特異的な高発現レクチンの候補を上げることが可能だった。候補レクチンは4種同定されており、診断マーカーとして最適なレクチンの選出を行った。現在臨床検体(細胞診検体、生組織)での前向きの検証を行っているが、実臨床の細胞診検体では正常扁平上皮、腫瘍細胞、頸管粘液、血液などが混在している状態であったり、個体間でののばらつきなどがあるため解析結果の解釈に工夫を要している。要検討事項が具体的になってきたため、サンプル調整など今後も再検討する必要がある。加えて個体差のバラツキを解消するために臨床細胞診検体においては臨床経過とも比較し、同一症例内での継時的な追跡によって(術前、術後での比較解析等)比較解析などを行い解析を進めている。 また、マイクロダイセクションで回収した前癌病変のFFPE組織と正常扁平上皮、扁平上皮癌との比較解析の準備を進めているが、臨床検体の生検材料は想定よりも微量であり解析が困難となっている。前癌病変の組織採取量を増量する取り組みやターゲットを絞り込んだレクチン解析も検討している。 加えて、子宮頸がんの発がんの原因とされるHPV感染、HPV遺伝子の組み込み状態との相互関係も考えられるためHPV組み込み状態の解析も並行して行なっている。 現在はまずFFPE組織での子宮頸部正常上皮と扁平上皮癌との比較解析までの結果で論文を作成し、投稿中である。
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