研究課題/領域番号 |
25861518
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
菅原 かな 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (10453739)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 着床不全 / 間葉系幹細胞 / 脱落膜化 |
研究概要 |
ヒト間葉系幹細胞の培養液中にestradiol(E2)とprogesterone(P4)または8-Br-cAMPを添加し子宮内膜様細胞に分化誘導し、子宮内膜が原因と考えられる着床不全に対する細胞医療に応用可能な系を確立することを目的とした。 羊膜由来間葉系幹細胞(AMCs)と月経血由来間葉系幹細胞(MMCs)、骨髄由来間葉系幹細胞(BMCs)について、E2 10nM+プロゲステロン P4 1μM,または8-Br-cAMP 1.0μMを添加した培養液で7,14日間培養し、子宮内膜間質様細胞の特徴である脱落膜化能を誘導することを試みた。子宮内膜間質細胞 (ESCs)をポジティブコントロールとした。細胞形態変化の観察,細胞表面抗原解析、プロラクチン (PRL)やインスリン様増殖因子結合タンパク質1 (IGFBP1)の発現について、免疫染色および定量的リアルタイム逆転写核酸増幅法 (quantitative real-time PCR : qRT-PCR)を用いて検討し、脱落膜化能の有無を評価した。 E2+P4あるいはcAMP添加培養前よりAMCs,MMCs,BMCsは間葉系幹細胞に特徴的な細胞表面マーカー (CD29,CD44、CD59、CD73,CD105, CD166)を発現していた。AMCs,MMCs,BMCsのE2+P4添加培養群では、免疫染色およびqRT-PCRによりPRLの発現が認められたが、IGFBP1の発現は明らかではなく、細胞の形態変化も認められなかった。一方、AMCs,MMCs,BMCsにcAMPを添加培養して7日目から、いずれの細胞でもESCsと同様にPRL,IGFBP1の発現が認められ、さらに培養14日目では、ESCsと同様の形態変化も認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト間葉系幹細胞培養液中にestradiol(E2)とprogesterone(P4)または8-Br-cAMPなどの薬剤を添加し子宮内膜様細胞に分化誘導する系を確立することが今年度の目標であり、概ね順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
この系を用いて、子宮内膜細胞への分化における遺伝子発現プロファイルの変化と上清中サイトカインの変化に注目し、子宮内膜細胞への分化過程を分子生物学的に規定する。次にこれまでの研究で得られたヒト内膜間質様細胞をマウス胚と共に偽妊娠マウス(免疫不全マウスあるいは野生型CD1マウス)に胚移植して、着床率、流産率、出産率を検討する。さらに、脱落膜あるいは胎盤に寄与しないかを組織学的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度繰り越し経費が発生したが、これは、本研究が臨床検体を扱うため、検体数が予測とわずかに異なったことにより発生したものであり、全体の研究進捗への影響はなく、次年度に速やかに計上する予定である。全体として今後も計画に沿って研究を進めていく予定である。 細胞培養に必要な培地、培養皿などの試薬、消耗品、flow cytometry、免疫染色などの各種細胞機能解析のための試薬、共培養実験に必要な試薬の購入に用いる。
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