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2013 年度 実施状況報告書

子宮内膜癌におけるJAM1の発現および機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25861519
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人医薬基盤研究所

研究代表者

横山 拓平  独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 協力研究員 (00528359)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード癌 / 蛋白質
研究概要

子宮内膜癌は婦人科領域では最も頻度の高い悪性腫瘍である。特に進行期あるいは再発時の子宮内膜癌は予後不良であり、その平均生存期間は1年に満たない。申請者は、プロテオミクス手法を用いて、子宮内膜癌で有意に高発現する蛋白質としてNeural cell adhesion molecule L1 (NCAML1)、Bone marrow stromal antigen 2 (BST2)、Junctional adhesion molecule 1 (JAM1)などを同定し、さらに抗BST2 抗体が子宮内膜癌に対して治療効果を有することを明らかにした(Yokoyama T et al,2013 Int J Cancer)。本研究では子宮内膜癌に対する新規治療標的としてJAM1 に着目し、分子標的治療への応用を目指してJAM1 の機能解析を行う。
本年度においては、JAM1陽性子宮内膜癌由来の細胞株であるHEC1およびSNG-IIに対してJAM1の発現をsiRNAでノックダウンし、WST-8試薬の添加後に細胞増殖活性を測定した結果、いずれの細胞株においてもnegative control siRNAと比較してJAM1のsiRNA処理群にて細胞増殖が低下することを明らかにした。JAM1の発現抑制による細胞増殖抑制の分子機序を解明するためにフローサイトメトリーを用いて細胞周期解析を行った結果、G0/G1期での細胞周期停止が誘導される事を明らかにした。SNG-II細胞においてJAM1の発現抑制によりp21の発現上昇がウェスタンブロット法により認められた。このことから、JAM1を介した細胞増殖制御にはp21の関与が示唆された。現在、JAM1による細胞周期制御の詳細な機序について検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画予定通り、子宮内膜癌細胞の増殖におけるJAM1の機能解析を、JAM1のsiRNAを用いてin vitroで解析した。子宮内膜癌細胞株のHEC1およびSNG-IIに対してJAM1の発現をsiRNAでノックダウンし、WST-8試薬を用いて細胞増殖活性を測定した結果、いずれの細胞株においてもnegative control siRNAと比較してJAM1のsiRNA処理群にて細胞増殖が低下することを明らかにした。このことから、JAM1がこれらの細胞株において、癌細胞の増殖と関係のある分子である事が示唆された。さらに、細胞周期解析を行った結果、JAM1の発現抑制はG0/G1期での細胞周期停止を誘導する事を明らかにした。SNG-II細胞において、JAM1の発現抑制によりp21の発現上昇がウェスタンブロット法により認められた。このことから、JAM1を介した細胞増殖制御にはp21の関与が示唆された。現在、JAM1による細胞周期制御の詳細な機序について、p21の転写に関与するp53の制御についても解析を進めている。

今後の研究の推進方策

<1>子宮内膜癌細胞の増殖・浸潤・転移におけるJAM1 の果たす役割の解明  JAM1 からのシグナル伝達経路が子宮内膜癌細胞の増殖・浸潤・転移に対して果たす役割を解明するため、JAM1 陽性子宮内膜癌細胞株に対してJAM1 に対する特異的なsiRNA あるいはコントロールsiRNA を遺伝子導入した細胞より抽出した蛋白質について、最先端の質量分析計(LTQ Orbitrap velos)および市販のリン酸化蛋白アレイを用いて網羅的なリン酸化蛋白質の定量・発現解析を行う。JAM1 の発現抑制によって変動するリン酸化蛋白質について、各種抗体を用いてウェスタンブロット法にて再度確認し、JAM1 による増殖・浸潤・転移のメカニズムを明らかにする。
<2>子宮内膜癌組織におけるJAM1 発現解析と予後との関係の解明  子宮内膜癌組織における発現を解析するため、正常子宮内膜組織及び子宮内膜癌組織(研究協力者、上田豊、大阪大学医学系研究科産婦人科助教により手術検体の一部を供与していただく)に対して免疫組織化学染色とウェスタンブロット法を行うことで、子宮内膜癌組織にJAM1 が高発現することを確認する。JAM1 発現量と臨床病理学的因子との相関について統計学的に解析し、またJAM1 発現量と予後との関係についても検討を行う。
<3>in vivo におけるJAM1 阻害による抗腫瘍効果の検討  以上の解析で子宮内膜癌の治療標的分子としてのJAM1 の有用性がin vitro で解明される。続いて、in vivoにおける直接的な治療標的としての有用性を検討する。
免疫不全マウス(ICR nu/nu)の皮下にJAM1 陽性子宮内膜癌細胞株を移植する。腫瘍が生着した後、JAM1 の発現を抑制するsiRNA を腫瘍組織内に局所投与して、腫瘍の発育を観察する。抗腫瘍効果は腫瘍体積および腫瘍重量の計測結果、病理解析により検討する。病理解析としては、摘出した腫瘍組織に対してJAM1 および細胞増殖マーカーであるKi67 の免疫組織化学染色を行う。

次年度の研究費の使用計画

発注予定であったマウスの在庫がなかったため。
次年度の研究計画に含めて使用する。

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公開日: 2015-05-28  

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