研究実績の概要 |
ヒトではPenred症候群患者は幼少期ではある程度聴力があるものの加齢や頭部外傷によって難聴が進行することが知られている。 Pendrinノックインマウスでは野生型マウスと比較して聴力低下を認めなかったため、内耳に負荷を与えた時の変化を観察した。 頭部外傷モデルの実験系はすでに確立していたため、全例にならって実験を行った。333gのおもりを高さ2cmから自然落下させることで頭部に中等度の外傷を与えた。 受傷4時間後と7日後に聴力と前庭機能を測定した。 若年のPendrinノックインマウスにおいて、頭部外傷による聴力・前庭機能変化を調べた結果、正常群と比較して有意な差が認められなかった。 音響外傷時の聴力変化観察実験では8-16kHz, 89dB SPL, 2時間の音響外傷を与えた。受傷4時間後と7日後に聴力と前庭機能を測定した。 若年のPendrinノックインマウスにおいて、音響外傷による聴力・前庭機能変化を調べた結果、正常群と比較して有意な差が認められなかった。 以上より若年時にはPendrinノックインマウスは内耳負荷時においても野生型と比べて聴力・前庭機能は変わらないことが示された。 そこで我々は加齢による難聴の変化をしらべ、更に成年期のPendrinノックインマウスにおいての頭部外傷、音響外傷による聴力変化を調べる計画を立てた。 そのため現在Pendrinノックインマウスの繁殖・飼育、聴力の測定を行っている。 結果は近い時期に判明する見込みである。 また、難聴が発症している場合には組織学的検査、タンパクの解析も追加で行いたい。
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