研究課題/領域番号 |
25861524
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
古川 孝俊 山形大学, 医学部, 助教 (80466630)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Muse 細胞 / 顔面神経麻痺 / 多能性幹細胞 |
研究実績の概要 |
耳下腺悪性腫瘍切除・外傷・錐体骨手術に伴ってperipheral facial nerve injuryが引き起こされると、神経の不完全な回復によって顔面神経麻痺が残存し、患者のQOLが大きく損なわれることが多い。このような患者に対して近年臨床で用いられているNerve graftは有効なaxonal guideであるが、採取できる神経に制限があり、また、神経障害が多部位に渡ると再建しきれないという欠点をもつ。 これに対し、損傷を受けた顔面神経を回復させるためのもう一つの手段として、再生医学的アプローチが考えられる。東北大学大学院医学系研究科出澤真理教授らの研究グループが、ヒト皮膚線維芽細胞や骨髄間質細胞などの間葉系細胞には多能性を持つ幹細胞が存在することを発見し、その性状から、Muse(Multilineage-differentiating stress-enduring)細胞と名付け、発表した(Proc Nalt Acad Sci. 107, 8639-8643, 2010). 今回、顔面神経損傷動物モデルにこのMuse 細胞を導入し、神経の回復がどの程度促進されるのかを検証することを目的として実験を進めている。 当初ラットMuse細胞を採取してラットに移植することを予定していたが、良好なラットMuse細胞がまだ獲得できない状況である。そこで、免疫抑制剤使用下にヒトMuse細胞の移植を行う方針として実験を行うこととした。 現在、本格的な実験に向けて予備実験を進めており、データが揃い次第、本格的な実験に移行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初ラットMuse細胞を採取してラットに移植することを予定していたが、良好なラットMuse細胞がまだ獲得できない状況である。そこで、免疫抑制剤使用下にヒトMuse細胞の移植を行う方針として実験を行うことに変更した。 現在、本格的な実験開始に向けて、予備実験を行っており、その結果が揃ってから実験を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
顔面神経再生の評価に用いる組織学的検査・電気生理学的検査・洞毛運動の機能評価については実験準備がほとんど整った状況にある。 また、現在までMuse細胞の採取を東北大学で行い、ラット実験を山形大学で行うという、多施設にまたがる実験を行っていたため、効率が悪かった。しかし今後、Muse細胞の採取も山形大学で行う予定であり、そうなれば、一連の実験がすべて山形大学で行えることとなり、研究の推進が期待される。
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