研究課題/領域番号 |
25861529
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
米倉 修二 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20400939)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / 舌下免疫療法 / NKT細胞 / α-Galactosylceramide / liposome / 新規治療 |
研究概要 |
平成25年度は、抗原とα-GalCer(α-Galactosylceramide)の両者を提示した骨髄由来樹状細胞(bone marrow-derived dendritic cell;BMDCs)の口腔粘膜下投与によりアレルギー性鼻炎モデルマウスの鼻症状が抑制される機序について検討した。まず、介入後のWT(Wild type) マウスの頸部リンパ節CD4+ T 細胞をin vitro でOVA 刺激した検討では、OVA/a-GalCer-BMDCs 投与マウスのT 細胞ではIL-4、IL-5、IL-13 の産生が有意に抑制され、IFN-γ の産生が亢進していた。またα-GalCer での刺激によってIL-21 を産生する細胞数は、OVA/α-GalCer-BMDCs 投与群の頸部リンパ節において有意に増加していた。抗IFN-γ 抗体、 抗IL-21 抗体の投与により、OVA/α-GalCer-BMDCs 投与群でみられていた鼻炎症状の増悪抑制ならびにOVA 特異的IgE 抗体の産生抑制は解除された。つぎに、invariant NKT(iNKT)細胞の関与をin vivoで確認するため、iNKT細胞を欠損したJα281-/-マウスを用いて症状の抑制効果を評価したところ鼻炎症状の増悪は抑制されなかった。平成25年度の検討ではα-GalCer が舌下免疫療法のアジュバント候補となるか検討した。OVA/α-GalCer-BMDCs 口腔粘膜下投与マウスでは、鼻炎症状の増悪抑制、血清中抗原特異的IgE 抗体の産生抑制が認められたが、この反応がiNKT 細胞依存性であると考えられた。抗原とα-GalCer の同時投与によって活性化したiNKT 細胞がIFN-γ およびIL-21 産生を誘導し、鼻炎症状抑制に寄与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初交付申請書に記載した平成25年度分の研究に関しては、おおむね予定通りに進み、平成26年度の研究の土台を作ることができた。既に、平成26年度分の研究への取り組みが開始されている。
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今後の研究の推進方策 |
この時点までに確認した本治療モデルを実際の臨床に応用するにあたり、in vitroでBMDCsを作成して患者口腔粘膜下に投与する操作をそのまま踏襲することは極めて煩雑であり、安全性や経済性の面からも負担が大きい。そこで平成26年度はliposomeの利用を検討する。Liposomeはリン脂質の膜を持ったカプセル様の構造体で、内部にタンパクやペプチドなどを組み込むことができるのに加え、粘膜を通過して局所の抗原提示細胞に取り込まれる特徴を有している。これに抗原とα-GalCerを組み込んだものを事前に作成しておき、患者口腔粘膜上に投与(舌下投与)する方法であれば患者負担も軽減され、臨床応用を期待しうる投与経路と考えられる。 (1)アレルギー性鼻炎モデルマウスの舌下に抗原およびα-GalCerを組み込んだliposomeを投与する投与時期やタイミングを検討後、鼻炎症状に対する抑制効果について解析する。 (2)前述のliposomeを蛍光抗体でラベルしたものを作成し、アレルギー性鼻炎マウスの舌下に投与する。その後にマウスの口腔粘膜組織切片を作成して樹状細胞を免疫染色し、局所の抗原提示細胞にliposomeが取り込まれているか確認する。 (3)抗原およびα-GalCerを含んだliposomeを舌下粘膜上に投与した際の、口腔粘膜や下気道に対する影響の有無について評価するために口腔粘膜組織標本の作成、気道抵抗性や肺胞洗浄液中のサイトカイン、肺組織中の炎症細胞浸潤の程度について解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用を予定していた試薬の購入が今年度間に合わなかったため。 次年度早々に試薬を購入予定である。
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