研究課題
若手研究(B)
本研究は声の老化による機能的・器質的変化の解明と、声のアンチエイジングを臨床で行うための基盤研究が目的である。そのために平成25年度は、①声が老化した症例(老人性喉頭例)に関する臨床研究、②健常者を対象にした音声の男女差・年齢差に関する基礎的研究、③代表的なアンチエイジング法であるカロリー制限が喉頭に及ぼす影響を解明する基礎実験をマウス・ラットを用いて行ってきた。①と②については、最新鋭の声帯振動評価機器である高速度デジタル撮像(HSDI)を用いた。①に関して、東大音声外来過去7年の老人性喉頭例の臨床的特徴について過去30年の当科からの報告と比較を行い、その結果を学会報告の上で英語論文化した。老人性喉頭例のHSDIにおける特徴(②で用いた解析手法を応用)、また老人性喉頭例に対する声帯内注入術の効果に関してはすでに学会報告を行っており、今後英語論文を作成する予定である。②については数年前から取り組んでおり、HSDI用の評価表、喉頭トポグラフィーを用いた健常者における声帯振動の性差・年齢差の解析結果に関しては学会発表および英語論文化していたが、平成25年度ではマルチラインキモグラフィー、声門面積波形解析を用いて更に詳細な評価を行い、その成果を学会発表および英語論文化した。その他の解析手法は平成26年度に追加評価を行う予定である。③はまず①・②を優先した結果、開始が遅れている。具体的には、カロリー制限による声帯の静的変化と声帯障害に対する動的変化を評価するために、声帯への手術操作が可能なラットを用いて、実験系を確立させたところで平成25年度が終了した。本格的なカロリー制限負荷は平成26年度から開始見込みであり、若年ラットで短期カロリー制限を行った結果を見てから、雌雄差、高齢ラットへの介入実験を計画することになる見込みである。
2: おおむね順調に進展している
本研究は声の老化による機能的・器質的変化の解明と、声のアンチエイジングを臨床で行うための基盤研究が目的であり、①声が老化した症例(老人性喉頭例)に関する臨床研究、②健常者を対象にした音声の男女差・年齢差に関する基礎的研究、③代表的なアンチエイジング法であるカロリー制限が喉頭に及ぼす影響を解明する基礎実験をマウス・ラットを用いて行ってきた。①、②は予定よりも順調に進展しているが、③は予定よりも進展が遅れており、全体として予定通りの進行状況にある。①に関するデータは全て解析済みで、学会発表が終わっており、半分程度が英語論文化している。②に関するデータも全て解析済みであり、学会発表も終わっており、大部分が英語論文化した。③については、①・②を優先的に行ったことと、実験系の確立に時間がかかったことにより、予定よりも進行が遅れている。カロリー制限の喉頭への影響を評価する他に、高栄養負荷群との比較、若年ラットと加齢ラットでの反応の違いなども研究する予定であったが、予定期間内に全てを行うことは困難になってきている。
本研究は声の老化による機能的・器質的変化の解明と、声のアンチエイジングを臨床で行うための基盤研究が目的であり、①声が老化した症例(老人性喉頭例)に関する臨床研究、②健常者を対象にした音声の男女差・年齢差に関する基礎的研究、③代表的なアンチエイジング法であるカロリー制限が喉頭に及ぼす影響を解明する基礎実験をマウス・ラットを用いて行ってきた。①、②は順調であるため、このまま本年度中に残りの研究結果を英語論文化する予定である。余力があれば、まだ試みていないHSDI解析方法での分析を追加して、更に学会発表や論文投稿を検討する。③は予定よりも進展が遅れているため、本年度では③を中心に研究を進めていく予定である。当初はカロリー制限の喉頭への影響を評価する他に、高栄養負荷群との比較、若年ラットと加齢ラットでの反応の違い、成長因子の投与による反応性の違いなど、発展的な内容も研究する予定であったが、①・②を優先したことと、実験系の確立が想定よりも難しくて時間がかかったことで予定期間内に全てを行うことは困難になってきている。その為、テーマに優先順位をつけて、平成26年度ではまず若年ラットで短期カロリー制限を行い、結果が出てくれば短期カロリー制限の影響の雌雄差、更に余力があれば高齢ラットへの介入実験を順次行っていく予定である。しかし、予定期間内に当初の予定した研究が終わらなくても、今回軌道修正した目標まで研究が進めば、成果としては十分に大きなものになると見込まれる。
本研究では、臨床研究と基礎研究を組み合わせて行っているが、臨床研究が予定よりも順調に進み、基礎研究が予定よりも進展が遅れている。臨床研究では論文投稿のための「その他(校正)」の費用が予定よりも多くなった。一方で、進みが遅くなった基礎研究で支出を見込んでいた物品費は予定よりも少なくなったため、次年度使用額が生じた。本年度は臨床研究を総括する段階にあり、校正にかかる費用が引き続き必要となる見込みである。また、基礎研究のペースアップを行うため、物品費は予定よりも増加する見込みである。これらに対して次年度使用額が使用される予定である。
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巻: 57 ページ: 印刷中
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巻: 28 ページ: 231-236
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