研究課題
若手研究(B)
本施設で加療を行った中咽頭扁平上皮癌症例のうち、腫瘍のp16の免疫染色、およびISH-HPVを網羅的に行うことができた。この結果、現在の本邦中咽頭扁平上皮癌のうちp16陽性は約半数を占め予後良好であること、および欧米ではHPV因子に喫煙量を加えた予後リスクの層別化が提唱されたが(NEJM2010)、日本人では喫煙量よりはむしろ習慣飲酒による層別化が有意であったことをの2点を第8回米国頭頸部癌国際学会で発表し、その後論文にまとめ、Cancer誌に採択された(Cancer. 2013 Jun 1;119(11):2005-11.)。また、ISH-HPVで確認された、中咽頭癌のうちHPVがより発癌に強く関与している群においては、これまでの頭頸部癌治療後の問題点の一つであった重複癌のうち異時性重複癌のリスクを軽減することも示し、日本台湾耳鼻咽喉科学会で発表したのち、論文にまとめJJCO誌に採択された(Jpn J Clin Oncol. 2014 in press)。そのうえで、本邦では同時性重複癌のうち食道癌が無視できないこと、特に高度飲酒群において有意に同時性重複癌のリスクが上がることを報告した。以上の報告は、欧米の白人主体の知見を日本人へそのまま適用するには限界がある可能性を示していると考えている。今後は中咽頭癌のうちHPV関連癌の比率において人種差があることに対して引き続き研究をつづけ、発信していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
中咽頭扁平上皮癌に対する予後リスク、重複癌リスクをp16の免疫染色および飲酒量、ISH-HPVを行うことで一定のリスク分類を提唱した。この結果を論文投稿し、Cancer誌およびJapanese Journal of Clinical Oncology誌に採択されているため。
中咽頭癌とHPVウィルスの関与としてHPVウィルスの発癌遺伝子であるE6、E7を調べ、中咽頭癌とウィルス発癌のメカニズムおよびその発症原因について検索を続ける予定である。切片からDNAを抽出し、TP53の遺伝子多形との関連についても検索する手法を確立している。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Jpn J Clin Oncol.
巻: in press ページ: in press
doi:10.1093/jjco/hyu042
Laryngoscope.
doi: 10.1002/lary.24695.
Cancer.
巻: 119 ページ: 2005-2011
doi: 10.1002/cncr.28015.