研究課題/領域番号 |
25861542
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小口 智啓 信州大学, 医学部, 委嘱講師 (10377640)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内耳 / グルタミン / 難聴 / 神経伝達物質 |
研究概要 |
過去の報告では、中枢神経系におけるグルタミン酸-グルタミン回路と、内耳におけるグルタミン酸-グルタミン回路の間に類似が認められ、それぞれ対応する酵素や受容体などに相同性が確認されているが、その全容については明らかと成っていない。 本年度は神経系におけるグルタミン酸-グルタミン回路との比較より、現時点で、内耳で解明されていないsupporting cellからグルタミンを放出するグルタミントランスポーターである「放出系グルタミントランスポーター」の候補「System N transporter」の発現および局在に関して分子生物学的手法、免疫学的、分子細胞形態学的な手法を用いて内耳での発現および局在を解析した。 具体的には、中枢において発現および局在が確認されているグルタミントランスポータの遺伝子配列を、UCSC、Ensembleのデータベースより入手し、それを基にプライマーを作成し、マウス内耳から作成したcDNAライブラリーを用いRT-PCRを行うことにより、内耳での発現の有無を確認した。その結果、System N transporterの内耳における発現を確認することができた。現在、in situハイブリダイゼーションにより内耳における発現部位を同定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、マウス内耳より抽出したtotal RNAを用いて、グルタミントランスポータをターゲットにしたRT-PCR解析を行うことにより、内耳での発現の有無を確認した。その結果、System N transporterの内耳における発現を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
蝸牛感覚細胞と求心系第一次ニューロンの神経伝達物質であるグルタミン酸は、細胞毒性を持つため、その代謝が内耳機能に非常に重要であり、グルタミン酸-グルタミン回路は聴覚・前庭機能に必要不可欠であると考えられる。また、VGLUT3が難聴の原因遺伝子として報告されるなど、遺伝性難聴と密接な関連が考えられている。 今後は、前年度までの検討により明らかとなった内耳におけるグルタミン酸-グルタミン回路を構成するグルタミントランスポータに関して、日本人難聴患者200名を対象に直接シークエンス法による遺伝子解析を行うことにより、遺伝性難聴の関連遺伝子を同定、病態解析を行う計画である。またグルタミントランスポータだけでなく、グルタミン酸-グルタミン回路に関与する他の分子に関しても同様に解析を行う計画である。
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