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2014 年度 実施状況報告書

OTOF遺伝子変異による難聴のデータベース構築とOAE消失メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 25861544
研究機関信州大学

研究代表者

鈴木 宏明  信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (00419368)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード難聴 / 遺伝子 / オーディとリーニューロパチー
研究実績の概要

平成26年度は日本人難聴患者の中でOTOF遺伝子変異患者におけるOAEの経時的変化に関する検討、および昨年度にcommon mutationであることが明らかとなったR1939Q変異を中心とし、さらに大きな母集団を対象としたより効率的なOTOF遺伝子変異のスクリーニングについての検討を行った。
OAEが経時的に消失していくメカニズムは未だ明らかとなっていないが、その原因として、長期にわたり求心性刺激がなされないことにより、廃用性に外有毛細胞の機能が失われる事によると仮定した。昨年度にOTOF遺伝子変異が同定された7例の中で、人工内耳装用者は3例(5耳)。この症例に対して術前、術後半年、術後1年、術後2年でのOAEを測定し、上記仮説の正否を検討した。術前のOAE反応があったものは4耳(1耳は不明)、術後半年で反応ありが0耳(1耳は不明)、術後1年で反応ありが0耳(1耳は不明、1耳は術後1年未満)となり、術後にOAEが保存される例は現在のところ0例であった。現時点までの検討では人工内耳挿入によるOAEの保持は得られていないが、今回の症例の中には人工内耳の電極が最近の内耳保護を目的とした繊細な電極でないものや、手術法が従来の高侵襲なものも含まれている。ゆえに、OAEの消失が手術侵襲によるものである可能性がある。現在主流となっている低侵襲な手術法、低侵襲な電極を用いて人工内耳が行われた症例に関して引き続きOAEの経時的変化をとらえていく。
また、今年度は難聴患者800例に対してtaqmann法を用いたOTOF遺伝子変異のスクリーニングを行った。今回解析を行った症例のうち9例(1.13%)にp.R1939Q変異を同定していた。また、昨年度に同定されたp.Y474X変異も病的意義がはっきりしており、3例(0.375%)に変異を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画を大幅に上回る、難聴患者800例に対してtaqmann法を用いたOTOF遺伝子変異のスクリーニングを行い9例(1.13%)にp.R1939Q変異を同定していた。また、p.Y474X変異も3例(0.375%)に変異を認めた。今後の継続により更なる成果が期待できる。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、本年度に行ったOTOF遺伝子変異患者におけるOAEの経時的変化の確認をし、症例を増加させてさらなる検討を行う。また本年度に解析を行った800例のうちtaqmann法にてヘテロ接合体の症例に関しては、直接シークエンス法を用いて確定診断率の詳細な検討を行う。
OAEが経時的に消失していくメカニズムに関して、本年度はOTOF遺伝子変異患者で人工内耳手術を行った症例に対するOAEの経時的変化を検討したが、全ての症例でOAEの消失を認めている。その理由として、以前の症例の中には従来の侵襲の高い手術法や電極で行われた例があることや、低侵襲手技および繊細な電極を用いた手術を行った例でも長期成績に関しては検討が行われていないことが挙げられる。今年度もOTOF遺伝子変異が同定された症例に関して術前、術後半年、術後1年、術後2年でのOAEを測定して長期成績および症例を増やした上での検討を行う。
また、本年度800名を対象にしてtaqmann法を用いたOTOF遺伝子変異のスクリーニングではp.R1939Q変異患者が9例、p.Y474X変異患者が3例同定された。うちヘテロ症例は7例であり、それらの症例に関してはOTOF遺伝子のスプライシング部位を含む全エクソン領域を直接シークエンス法により解析する。また、聴力レベル別に変異の有無を検討することにより、より詳細にOTOF遺伝子変異による診断率を明らかにすることを目的とする。

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公開日: 2016-06-01  

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