研究課題/領域番号 |
25861561
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
岡 達郎 島根大学, 医学部, 助教 (20508923)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 発声 / 喉頭 / 内喉頭筋 / 神経路標識法 / 中心灰白質 / 疑核 / 疑核後核 / 超音波発声 |
研究概要 |
本研究は、発声運動を引き起こす中枢神経機構の一端を形態学的立場から明らかにすることを目的とし、中脳中心灰白質から脳幹網様体ニューロンを経て、内喉頭筋を支配する延髄疑核運動ニューロンへ至る神経路の存在様式を、神経解剖学的ならびに神経化学的に分析するものである。 本年度は、中心灰白質の発声誘発部位を刺激することによって活性化する網様体ニューロンの分布様態、および内喉頭筋を支配する疑核運動ニューロンへ投射する運動前ニューロンの脳幹における分布様態についての検討を試みた。 まず、興奮性アミノ酸を中心灰白質外側部へ微量注入することによって超音波発声の誘発を試みた。過去の報告を参考に溶液の希釈濃度や種類を設定して実験を行ったが、現時点では発声運動が誘発された例はなかった。多くの哺乳類において中心灰白質刺激によって発声が引きおこされることが報告されており、ラットにおいても同様の反応が引き起こされることが予想されるため、今後も引き続き刺激条件の最適化を行っていく。 次に、内喉頭筋を支配する運動ニューロンが存在する疑核の領域に逆行性標識物質であるCTbを注入し、逆行性に標識されたニューロンの脳幹における分布様態について検討した。その結果、中心灰白質、結合腕傍核、孤束核および疑核後核などの領域に逆行性に標識されたニューロンが分布することを確認した。今後は、中心灰白質発声誘発部位を同定した上で、その刺激によって活性化するニューロンと疑核投射運動前ニューロンの分布の異動について検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究計画に基づき、疑核へ投射する運動前ニューロンの脳幹における分布様態について逆行性標識法による解析を行い、上述の結果を得ることができた。しかしながら、中心灰白質の発声誘発部位の同定に想定以上の時間を要しており、その結果、発声時に活性化する脳幹網様体ニューロンの分布の解析を研究計画書通りに進展させることができなかった。したがって、自己点検区分では(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、本年度は疑核運動ニューロンへの入力について、電顕解析およびin situ ハイブリダイゼーション法を用いて解析を進めていく予定である。また、脳内への薬物注入の最適条件の決定を最優先に行う。そして中心灰白質発声誘発部位を同定した上で、活性化したニューロンの分布や、疑核運動ニューロンへの入力様態についての解析を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述したとおり、興奮性アミノ酸注入の最適条件の決定に想定以上の時間を要している。そのため、神経活動の指標となるFos蛋白の検出に必要な抗体や試薬の必要量が予想を下回り、残額が生じた。 次年度の研究経費は、抗体や試薬の購入、実験動物の購入費と飼育費に充てる。また、得られた成果を学会や論文で発表するのに必要な経費にも使用する。
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