研究課題
前年度までの検討で、①鼻茸におけるIL-22mRNAの発現は鉤状突起に比べ亢進し、特にアスピリン不耐患者で高値であること、②逆にIL-22受容体の発現は鉤状突起に比べ低下し、特にアスピリン不耐患者で顕著であること、③鼻茸細胞は黄色ブドウ球菌外毒素刺激によってIL-22を産生するが喘息患者ではその産生が抑制されていること、④鼻茸細胞のIL-22産生量は鼻茸浸潤好酸球数と負の相関を示し、逆に1秒率とは正の相関を示すことなどを明らかにし、好酸球性副鼻腔炎、特に喘息合併例ではIL-22の産生が亢進しているが、これはIL-22受容体の発現低下を補完するためかNegative feedbackによる可能性が示唆された。本年度はIL-22による好酸球性炎症の調節機構を解析した。マイクロアレイ解析にて鼻茸細胞へのIL-22添加にて膜結合型ムチンであるMUC1のmRNA発現が亢進されることを見いだし、複数検体でのリアルタイムPCRで有意性が確認できた。IL-22添加によるMUC1発現量は鼻茸細胞のIL-22受容体mRNA発現量と正の相関を示した。一方、上皮性サイトカインであるIL-33、IL-25、IL-18、IL-8、TARC、RANTES、エオタキシンについてはIL-22添加による産生の変化はみられなかった。アスピリン不耐患者においては組織中のMUC1mRNA発現量とIL-22受容体mRNA発現量は正の相関を示した。MUC1はTLR4やTLR3などのTLRシグナルを抑制することにより気道炎症を抑制することやグルココルチコイド抵抗性に関与することなどが知られている。以上の結果より、好酸球性副鼻腔炎におけるIL-22の好酸球性炎症の抑制作用には、IL-22受容体発現に依存するMUC1の産生誘導が関与する可能性が示唆された。
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