研究課題
本年度はステロイド薬や抗菌ペプチドLL-37によるヒト末梢血単核細胞のIL-31産生の調節作用の検討、スギ花粉症患者の血清中IL-13の測定、鼻粘膜由来線維芽細胞のVFGF産生に対するIL-31の調節作用について検討した。スギ花粉症患者から末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。PBMCをスギアレルゲンCry j 1にて刺激する際に、種々の濃度のデキサメタゾンあるいはLL-37を添加した。他家の報告ではLL-37はIL-31産生を誘導する知見を認めたが、我々の今回の結果ではLL-37の添加はCry j 1に特異的なIL-31産生を増強しなかった。一方、デキサメタゾンの添加は濃度依存性にIL-31の産生を抑制し、1μMではほぼ完全に抑制した。さらにデキサメタゾンの添加によるIL-31産生の抑制は、ステロイド受容体拮抗薬であるRU486の添加で有意に解除された。スギ花粉飛散期に、スギ花粉症患者および非スギ花粉症患者より血清を採取し、血清中のIL-31をELISAにて測定した。スギ花粉症患者では非スギ花粉症患者に比べ、血清中のIL-31濃度が有意に高値を示した。一方、PBMCでみられたQOLスコアとの有意な正の相関は、血清では認めなかった。鼻粘膜由来線維芽細胞がPGD2刺激によってVEGF産生を誘導することを見いだした。本実験系において、種々の濃度のIL-31を添加し、VEGF産生の変動を検討した。IL-31の添加はVEGF産生に有意な影響を与えなかった。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度中に3つの課題をこなした。特にアレルゲンに特異的なIL-31産生をステロイドが強く抑制することは、ステロイドの抗炎症作用を理解する上で有益な情報と考える。
今後はマウスモデルによる検討(IL-31点鼻による症状誘発など)を進める予定である。
消耗品購入の中で予想金額より安価で購入できたため残額が発生した。
平成27年度の試薬費や成果発表のための旅費への使用を計画している。
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Journal of Allergy and Clinical Immunology
巻: ━ ページ: ━
10.1016/j.jaci.2014.10.058.
Allergology International
巻: 63 ページ: 563-573
10.2332/allergolint.14-OA-0703.