研究概要 |
平成25年度の研究概要は、「純音聴覚刺激に対する脳磁図センサの位相同期係数(PLF)及びセンサ間の位相同期度(PLV)をMATLABソフトウェアで計算し、吃音者での位相同期異常を証明する」ことである。位相同期を行うために、パソコンで、rawデータから不要なアーチファクトを取り除く、パラメーターと刺激時間を取り出し、全チャンネルをウェーブレット解析し、位相同期係数(PLF), 位相同期度(PLV)を計算できるプログラムをMATLAB上で作りあげました。実際の聴覚刺激、250Hz, 1000Hz, 4000Hzの純音刺激に対して、両側の聴覚野として反応の最大なチャンネルを選び、位相同期係数(PLF), 位相同期度(PLV)を計算しました。100ms前後の7~28Hz帯域にピークを持つ波形が算出できた。健常成人15名、吃音者15名のデータを、1つ1つ抽出したところ、右半球の位相同期係数(PLF)の値が健常成人に比べ、有意に吃音群が増加していた。さらに、位相同期度(PLV)は健常成人に比べて、吃音群が増加していた。これらの意義としては、吃音群の右半球の代償変化または原因をとらえた発見であり、吃音は「聴覚タイミングエラー」を支持する結果を得ることができた。この発見は「位相同期」という新しい手法を使うことにより、可能となった。これらのデータを整理し、現在はNeuroscience, NeuroImageなどに向けて論文執筆している最中である。
|