研究課題
アレルギー感受性を規定するIgE抗体が高値を示す遺伝子改変アレルギーマウス(CD19Cre-SOCS1 flox)を用いて、アレルギー合併中耳炎モデルを作製し、中耳や鼻腔などの局所アレルギーが中耳における炎症病態にどのような影響を与えるか解析した。コントロール群、アレルギー性鼻炎群、中耳PBS投与群、中耳オボアルブミン投与群の鼻腔、中耳粘膜組織をHE染色し炎症細胞や中耳粘膜の組織学的変化を観察した。SOCS1グループマウスでは明らかな粘膜肥厚や炎症細胞の浸潤が見られた。また中耳粘膜においてはSOCS1グループで著明な中耳粘膜への炎症細胞浸潤や中耳腔への好酸球の増加を認めた。SOCS1群ではTh2系のサイトカインであるIL-5、IL-13、Th1系ではIL-1b、IL-12(p40)、IL-12(p70)の著明な上昇を認めた。またケモカイン解析ではG-CSF、GM-CSF、MCP-1においてSOCS1群において有意な上昇を認めていた。またアレルギー性鼻炎合併中耳炎における病態の詳細な分析を行った。アレルギー性疾患においては通常IL-4やIL-5といったTh2系サイトカインの上昇が中心と考えられるが、アレルギー性鼻炎合併型中耳炎では中耳内においてTh2のみならず、Th1系サイトカインやケモカインの著明な上昇が見られた。中耳炎の病態は通常鼻腔からの細菌やウイルス感染から中耳内の炎症が惹起されると考えられているが、アレルギー性鼻炎の合併は中耳内での炎症病態の著明な増強効果が認められることが示唆された。本実験では中耳炎病態を考える上で、昨今増加しているアレルギー性鼻炎の合併を考慮することが非常に重要であること示した。今後は難治性中耳炎においてアレルギー病態を抑制することが中耳炎の改善にどう影響するのか、またその方法論について基礎医学的に解析していく予定である。
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Monduzzi Editore International Proceedings Division
巻: 1 ページ: 25-26
巻: 1 ページ: 17-19
巻: 1 ページ: 21-24