RSウイルス(RSV)は小児の気管支炎や免疫不全患者における肺炎を引き起こし,気管支喘息の増悪因子として重要な病原体であるが,現在までに有効な治療法はない.RSVの最初の標的は鼻粘膜であり,ウイルス複製が進むと下気道に進展,重症化すると考えられている.本研究では,正常ヒト鼻粘膜上皮細胞を用い,さまざまな薬理効果(NF-kB阻害作用,翻訳調節因子elF2αの脱リン酸化阻害,proteasome阻害)をもつ食品成分クルクミンのRSVに対する抗ウイルス作用について示した.安全性の高いクルクミンによるRSVに対する新規治療法の可能性につながる知見と考えられた.
|