始めにCalcium binding protein 2 (CaBP2) の細胞内局在を明らかにするため、ラビットを用いてポリクローナル抗体の作成を試みた。ラビットポリクローナル抗体の作成には、N末端側を用い、免疫を行い、抗体を得た。抗体は親和性カラムにより精製を行った。抗体の特異性の確認のため、HISタグを付加した、マウスCaBP2をATCCより購入したHEK293T細胞に強制発現し、HISタグ親和カラムを用いて生成、マウスCaBP2タンパクを得た。CaBPにはいくつかのisoformがあることから、それぞれマウスのCaBP1~5に加えて、カルモジュリンを同様に発現させたものを用いて、タンパク生成を行い、感度・特異性の確認に用いたところ、CaBP2に特異的な反応を示した。 次に、CaBP2の細胞内局在を確認するため、ポジティブコントロールとしてマウスCaBP2を強制発現したHEK293細胞を用いて、聴覚発生前のマウスとして生後7~8日の、また、聴覚発生後のマウスとして生後3ヵ月のC57bl6マウスより採取した蝸牛を用いて染色を行った。ホルマリン固定を行った、ホールマウント蝸牛を用いてチャネル複合体との局在関係を確認するためCtBP2/Ribeyeとの二重染色を行ったが、細胞内全体が均一に染まり、期待したチャネルクラスターを始め、細胞内の特定の領域との関連を見いだせなかった。そのため、crudeの血清を用いて染色をおこなったが、ピラー細胞が強く染色され、特異的な反応ではないように思われた。また、ブロッキングのプロトコール、抗体の濃度を変更し染色を行ったが染色パターンは大きくかわらず、また、親和性カラムを変更したが、特異的な染色は得られなかった。これらのことから、CaBP2はカルモジュリンと同じく、免疫組織化学法からは細胞質に均質に発現するものと考えられた。
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