研究実績の概要 |
血管内皮細胞増殖因子の頭頸部癌癌幹細胞における微小環境・ニッチとしての役割の一端を明らかにすることである。 本年度は臨床検体として舌癌における原発巣の血管内皮細胞増殖因子VEGFおよび血管内皮細胞増殖因子受容体VEGFR、頭頸部扁平上皮癌癌幹細胞における癌幹細胞マーカーとしてOct3/4,Nanogの免疫組織化学染色を行った。舌癌の臨床検体ステージⅠ/Ⅱにおいては後発頸部リンパ節転移(DNM:delayed neck metastasis)と癌幹細胞マーカーOct3/4,Nanogの発現に正の相関関係がみられた。臨床病理学的因子としては後発頸部リンパ節転移と血管侵襲の間に、正の相関関係が見られた。進行癌を含めた舌癌では、血管内皮細胞増殖因子VEGFの発現と、頸部リンパ節転移に正の相関関係が見られた。血管侵襲部位周囲に血管内皮細胞増殖因子受容体VEGFRが認められる傾向があった。癌幹細胞マーカーOct3/4,Nanogの近傍に血管侵襲が認められることから微小環境・ニッチが近傍に位置する可能性があると考えられた。 頭頸部扁平上皮癌細胞株に、Hoechst3342を投与し、染色された細胞が約1%前後でありSP細胞であり、癌幹細胞を多く含んだ細胞と考えられた。SP細胞とnon-SP細胞にOct3/4,Nanog,ABCG2をRT-PCRで比較するとSP細胞はOct3/4,Nanog,ABCG2の発現が高いことが確認された。また頭頸部扁平上皮癌細胞株に血管内皮細胞増殖因子VEGFを刺激すると細胞増殖、細胞遊走能の亢進が認められることも確認した。
|