術後に障害された中耳粘膜を早期に再生させることが可能になれば、鼓膜の再癒着を防止することができ、中耳真珠腫の再発を予防することが可能になり、これまで困難であった再発の防止が格段に期待できる。そこで我々は鼻腔粘膜を用いて温度応答性培養皿で自己の培養上皮細胞シートを作製し、術後の中耳腔へ移植する新たな治療法を開発した。 前臨床試験における良好な結果を踏まえ、この新規治療のヒトでの臨床応用に成功した。現在までに真珠腫性中耳炎の患者5例に対して、自己鼻腔粘膜上皮細胞シート移植を併用した中耳手術を施行した。いずれも移植後経過は非常に良好で細胞シート移植による有害事象も認められていない。
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