研究課題/領域番号 |
25861599
|
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
吉岡 哲志 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20648539)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 虚血性難聴 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 内耳再生 |
研究実績の概要 |
マウス胚性幹細胞(Embryonic stem cell; ES)のTlx3のexon3と3'UTRの間にP2Aを用いてGFPを発現させるtargeting vecterを構築し、Crisper-Cas9を用いてhomologus recombinationさせ、GFPを目的の位置にノックインさせることを試みている。現在pCas-GuideコンストラクトとTargeting vectorの作製は終了し、実際にES細胞に遺伝子導入ししてクローン選択を開始している。目的としているクローンが回収できれば、Tlx3を発現している細胞は蛍光蛋白GFPを発現するようになる。これにより、ES細胞から聴神経細胞への分化誘導に重要な役割をはたしているTlx3が発現しやすい条件の検討ができる。更にTlx3と同時に発現する蛍光蛋白GFPを用いてFACS sortすることで、Tlx3陽性細胞だけを回収することができる。これにより、マウスES細胞から聴神経細胞へ分化機構に対するTlx3の影響を詳細に検討することができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に報告したように、骨髄由来間葉系幹細胞の神経系への分化誘導が最近血清を変えたことにより、以前のように効率的に作成出来なくなっている。この解決策として、現在血清のlotチェックを行い、効率的に神経系への分化誘導が可能な血清を選択するように努力しているがあまり好ましい結果は出ていない。このため、SFEB法(serum-free floating culture of embryoid body-like aggregate)のように血清を用いない方法に切り替えて、神経系への分化誘導実験を行っている。SFEB法法を使用する関係上、骨髄由来間葉系幹細胞の代わりに胚性幹細胞を用いての検討を開始している。また胚性幹細胞から聴神経への分化誘導にはTlx3が重要な働きをすることが知られており、Tlx3陽性細胞をFACS sortにて回収するため、Tlx3のexon3と3'UTRの間にGFPをノックインしたES細胞の作成を試みている。この、GFPノックインES細胞の構築等に手間取っているので、実験計画に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在Tlx3遺伝子座にGFPをノックインしたES細胞を作成している。このノックインES細胞が作成できれば、マウスES細胞から聴神経細胞へ分化機構に対するTlx3の影響を詳細に検討することが可能となると考えられる。更に、Trichostatin A(TSA)やvalproic acid(VP)といったヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の及ぼす影響も合わせて検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
血清のロットチェック等を繰り返したが、骨髄由来間葉系幹細胞から神経系への分化誘導を効率良くできる血清を見いだせなかった。このためSFEB法(serum-free floating culture of embryoid body-like aggregate)のように血清を用いない方法に切り替える必要があり、実験計画に遅れが生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度は最終年度になるが、GFPノックインES細胞株をselectionし、今までの遅れを取り返して行きたい。
|