研究課題
若手研究(B)
頭頸部癌は咽頭・喉頭等に発生し、咀嚼、発声、嚥下等の生体機能を損なうことから、単に生命予後のみならずQOLの観点からもその克服が急がれている。頭頸部癌の大部分を占める扁平上皮癌は、強い角化傾向を呈し、原発部位と転移部位に硬い腫瘤を形成しながら頭部・頸部さらに体幹へとリンパ管・静脈に沿って浸潤・転移する。本課題では、頭頸部がんの悪性化と密接に関係する「頭頸部がん幹細胞」の細胞生物学的特徴と臨床応用に取り組む。具体的には、①頭頸部癌のがん幹細胞マーカー候補として申請者が見出したCD271は、頭頸部がん細胞の新たながん幹細胞マーカーとなりうるか?を検討する。さらに、②超免疫不全マウス(NOG)を用いた異種移植系を使って、幹細胞としての性質を示すか?調べる。さらに、③CD271発現と予後は相関するか?④CD271を標的とした特異的治療法の開発は可能か?を検討する。これらのアプローチにより、CD271による革新的ながん研究を展開し、新規治療法と予後予測のための基盤となるデータの収集を目的とする。H25年度は、①頭頸部がん由来細胞株を用いたCD271陽性がん幹細胞の解析を行った。頭頸部癌細胞株FaDu等からCD271陽性細胞を分取し、癌幹細胞としての特性を解析した。CD271陰性、陽性とも100細胞でNOGマウスに腫瘍形成した。②頭頸部癌検体に由来するがん幹細胞を用いたNOGマウス移植系の解析. ヒト由来頭頸部癌をNOGマウスに移植しPDX株を3株樹立した。HPCM2株は、10代以上の継代が可能であり、細胞株としても培養できた。CD271陽性分画は、同陰性分画に比べ明らかに造腫瘍能が亢進していた。以上の結果から、ヒト由来頭頸部がんにおいて、CD271はがん幹細胞がを含む可能性が強く示唆された。
2: おおむね順調に進展している
頭頸部がん細胞について、培養細胞および患者由来株のいずれの解析も順調に進んだため。
H26は予定通り、癌幹細胞の解析を進める。
癌幹細胞を移植する腫瘍株が予想より少数で済んだため。予定通り、NOGマウス、試薬、消耗品等に使用する計画である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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