研究課題
若手研究(B)
網膜低酸素関連疾患における網膜の相対的・絶対的虚血状態の終末像は病的血管新生で引き起こされる,つまり血管の低酸素応答性によるものと考えられるため,血管内皮細胞(HUVEC:正常ヒト臍帯静脈内皮細胞)およびその前駆段階である血管内皮前駆細胞(EPC)におけるOn/Off機能を備えた近赤外蛍光低酸素小分子プローブによる反応性を検討した.EPC,HUVECどちらにおいても低酸素環境下において近赤外蛍光強度が増幅している事が確認された.近赤外蛍光低酸素小分子プローブが血管内皮細胞においてもOn/Off機能を備えている事が示された.マウス未熟児網膜症モデルは,網膜血管が完成していない生後7日~12日の幼弱マウスを75%O2下で飼育する事で網膜血管の成長が停止し,生後12日以降再度通常酸素下に戻す事により,相対的虚血が起こり,その後網膜新生血管を認める(Smith et al. IOVS 1994).このマウスに対し、静脈注射で投与し,蛍光強度を眼底蛍光カメラを用いて評価した.低酸素微小環境で選択的に活性化されるOn/Off機能を備えた蛍光プローブを用い,未熟児網膜症モデルにおいて低酸素感受性近赤外光蛍光プローブを濃度依存性に投与する事により近赤外線蛍光強度が増す事、75%O2から通常酸素下に戻して2時間後、6時間後において強い近赤外線蛍光強度が増加するというデータが得られてた.未熟児網膜症モデルでは網膜全体が低酸素状態になるため,網膜内の局所的な低酸素の評価には向いていない可能性が考えられる.そこで,レーザーで直接網膜静脈を凝固し静脈を閉塞させる事により網膜内に局所的な低酸素状態を作り出す事が可能である.ウサギ網膜静脈閉塞症モデルは,On/Off機能を備えた近赤外蛍光低酸素小分子プローブ投与により局所の低酸素を鮮明に描出する事ができた.
1: 当初の計画以上に進展している
本年では予定以上に進展し、網膜電図・in vitroの実験も行い実験の幅が広がった.
今後はプローブ注入後に網膜電図を測定しプローブの安全性を検討する.近赤外蛍光顕微鏡で組織の詳細な観察を進めていく.
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