本研究は緑内障患者において、客観的指標に基づくQuality of Visual Life(QoVL)の推測モデルの構築と自覚に基づく主観的なQoVLのより現実に即した評価とを目指し、両アプローチからの統合的評価を可能にするシステムの構築を目指すものである。H25年度は研究の第一段階として鷲見の質問票(Ophthalmology 2003)を用い視力・視野データからQoVLを予測するモデルの構築を試み、Random Forest法の採用が適切であることを報告した(Hirasawa et al. BJO 2014)。H25年度からH26年度にかけて、自覚に基づく主観的なQoVL評価法に関し、項目反応理論の一種であるRasch法を用いて鷲見の質問票の再評価を行い主観的QoVLの評価にはRasch法を用いることが適切であることを報告した (Hirasawa et al. IOVS 2014)。H26年度はこれまでの研究をふまえ、Khadkaら(Optom Vis Sci 2013)の報告の中で緑内障患者のQOL調査法として提案された手法に含まれる全ての設問を網羅し、多様な日常生活の動作・状況を反映した新Sumi調査票を作成した。新Sumi調査票を用い、新規に緑内障患者のQoVL調査を行い、視覚不自由度に関するテスト問題及び回答パターンのデータベースであるアイテムバンクを構築した。 しかし、新Sumi調査票の設問は114問に及び、臨床現場での汎用化を阻むことが懸念される。今後はcomputerize Adaptative Testing(CAT)を利用し、アイテムバンクに蓄積された多くの質問群からコンピュータープログラムが回答者に合わせて選出した必要最小限の設問数によるコンピューター適合型スコアリングシステム(CAT-新Sumi調査票)の構築をめざし研究遂行中である。
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