研究課題
若手研究(B)
本研究は従来片眼ずつ独立に評価されている緑内障患者の視野を、新たな両眼視野として統合して評価し、緑内障患者の日常生活における視覚生活の質(Quality of Visual Life、QoVL)をより正確に推定して、緑内障治療の発展と患者のQoVLにもとづく社会的な提案を可能にすることを目的としている。通常両眼視をしている状態では左右の眼に優位眼と非優位眼があるが、左右眼それぞれの視野にことなる程度、形状の視野障害をもつ緑内障患者において、眼優位性、特に中心視野だけではなく、周辺視野での眼優位性がどのように存在しているのか、これまで検討されていない。本研究ではまず眼優位性の定量的な評価をおこない、眼優位性を反映した両眼視野の新たな評価法を確立し、アンケートにより評価されるQoVLとの関連を検討する予定である。H25年度はまず緑内障患者の眼優位性を評価する評価系を確立するために3D ビジュアルファンクショントレイナー((株)ジャパンフォーカス)を導入した。本機は専用フルハイビジョン3Dモニターと円偏光フィルター眼鏡を用いて、両眼開放下で左右眼それぞれに任意の画像を提示し患者の応答を記録できるもので、本機のソフト開発を行っている(株)ソフトキューブと共同で、中心視野および周辺視野における眼優位性を定量的に評価するために最適な視標提示、解析を行う独自のプログラムを作成した。同時にQoVLを評価するためのアンケートについて、既存のアンケートの客観的評価とともに、よりすぐれたQoVLの視標となりうるアンケートの作成を進めた。そのうえでまず予備的研究として、数名の正常者および緑内障患者においてこの眼優位性評価法による測定とアンケートを行い、その結果を解析して測定方法とアンケートの至適条件を調整した。
3: やや遅れている
当初の予定では眼優位性測定は既存の機材と方法論を導入して行う予定であったが、交付額の減額のため予定していた器材は購入できなかった。しかし、視野の広範な範囲でのより詳細な眼優位性の評価を可能とするために、国内で新規に開発された3D ビジュアルファンクショントレイナーを代わりに導入し、検査プログラムから独自のソフトを開発して眼優位性の最適な検査方法を確立することとした。このため、器材の導入とソフトの開発、調整に予定以上に時間がかかっており、当初今年度中に予定していた多数の正常人での測定、評価はまだ実施できていない。また、QoVL評価のためのアンケートの評価、新規作成も同時に行い、眼優位性を考慮した両眼視野との関連を検討することとした。
現在、新しい機材と独自のプログラムを利用した眼優位性の測定方法が確立できたため、今後は正常人、緑内障患者での眼優位性の評価を進める予定である。QoVL評価のための新たなアンケートも同時に作成、実施し、その結果もあわせて解析することで、眼優位性を考慮した新たな両眼視野の測定方法を確立し、QoVLのより正確かつ詳細な推定方法を検討する。
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