眼優位性を詳細に評価するためのコンピューターソフトを開発し、10数例において繰り返しを含む測定を行って、測定条件の最適化を進めた。測定と結果の解析、測定条件の改善は現在も進行しており、両眼視機能の個人差が相当大きいことが明らかになったが、両眼視野とQOLに与える影響は大きくない可能性が推測された。 生活不自由度に関するアンケート調査の結果からQOLと推定する際には、項目応答理論(ラッシュ法)を用いて解釈することが有用であった。我々のアンケートの妥当性が従来のものよりすぐれることを統計学的に確認し、能力値などの新しいパラメータを算出して緑内障患者のQOLをより正確に推定する方法を確立し、ランダムフォレスト法などの機械学習法を用いることで視野検査から精密に生活不自由度を推定する方法を確立して報告した。 視野検査の結果からは認識できた視標感度以外にもいくつかの情報が得られるが、検査中のリアルタイムの眼球運動の情報であるゲイズトラッキングの結果を、定量的なデータに変換して解析する新たな方法を初めて確立した。ゲイズトラッキングの要素は視野検査結果に有意に影響する重要な因子であり、正確な視野感度の推定や再現性の評価、進行予測に重要であることを明らかにして報告した)。これらの新たな情報や統計学的な解析結果を考慮して、より精密に視野障害の進行評価と将来の予測を行うために、least absolute shrinkage and selection operator(Lasso)回帰法や、視野の変化を統計学的方法で決定された小さなセクターに細分割して解析する、クラスター回帰を用いる方法を確立し、従来の方法より有意にすぐれることを報告した)。
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