研究課題
若手研究(B)
HTLV-1ぶどう膜炎は現在ステロイド治療が主であるが、それによる副作用が懸念されている。ステロイドはHTLV-1感染細胞を腫瘍化する可能性があり、新たな分子標的療法が開発されることが急務である。ステロイドのHTLV-1感染細胞への影響を調べるために、HTLV-1ぶどう膜炎患者におけるステロイド内服群と非内服群でのプロウイルスロードの比較したところ、2.5倍程度ステロイド投与群でプロウイルスロードが高値であった。これはHTLV-1感染細胞が不死化するリスクファクターであるプロウイルロードの増加にステロイドが影響を与えている可能性が示唆され、ステロイド治療に代わる分子標的療法の必要性が明らかになった。続いてHTLV-1ぶどう膜炎の炎症惹起機序にどのような分子が眼内で関与するかを明らかにするために、眼免疫恒常性の維持における重要な役割を担うヒト網膜色素上皮細胞に着目した。ヒト網膜色素上皮細胞のセルラインとして、付着細胞であるARPE-19、H-RPEのシート状培養を効率的に行う条件を検討した。またHTLV-1感染細胞のセルラインとして、浮遊細胞であるMT-2、TLOm1を導入した。これら付着細胞(網膜色素上皮細胞)と浮遊細胞(HTLV-1感染細胞)を共培養するための最適な条件の検討を行った。さらに各細胞におけるエピジェネティクス関連分子を中心とした変化をフローサイトメトリー、Western blot、PCRを用いて解析中であり、同時に共培養した上清のサイトカインの変化を検討している。
3: やや遅れている
実験に導入した細胞の適切な培養条件などの検討に時間が必要であった。
実験に導入した細胞を培養した際に得られた知見を踏まえ、HTLV-1感染細胞が眼内で炎症を惹起する際に関与する分子、サイトカインの同定を進めて行く。
実験に導入した細胞の培養条件などの検討に時間がかかり、抗体、実験キットなどの高額な品目を購入する機会が少なかったため。今後はフローサイトメトリーやサイトカイン測定などで多くの抗体、実験キットなどを購入する機会が増えると考えられるので、目的に応じて、適切にまた計画的に使用する予定である。
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Jpn J Ophthalmol
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10.1007/s10384-013-0294-0
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小児科
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