本研究は房水流出調節メカニズムを探るため、緑内障患者房水内で高値のTGF-β2とTGF-β2に誘導されるサイトカインに着目した。始めにヒト線維柱帯細胞内におけるTGF-β2の効果を調べた結果、TGF-β2はアクチン重合やコラーゲン産生を誘導していた。誘導されたアクチン重合は房水流出を促すROCK阻害剤によって抑制され、コラーゲン産生はp38阻害剤により有意に抑制された。さらにTGF-β2はサイトカインであるIL-6、IL-8産生を促し、TGF-β2によって産生されるαSMA発現はIL-6シグナルの活性化により抑制されていた。このシグナルの相互作用が房水流出調節に関与していることが示唆された。
|