脈絡膜が発症機序とされている代表的な疾患のなかで、近年は加齢黄斑変性症例が増加傾向にある。中でも、広義の加齢黄斑変性の中ではポリープ状脈絡膜血管症(Polypoidal choroidal vasculopathy,PCV)が日本人の半数以上を占めている。我々はPCVにおける病態解明とPCV症例に対する治療成績を検討した。近年は加齢黄斑変性に対する治療法として、抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF療法)が確立されつつある。抗VEGF療法前後で光干渉断層計(Optical coherence tomography,OCT)を用いて脈絡膜を測定し、PCVおよび脈絡膜の状態を観察した。6ヶ月間の経過観察期間のなかで、抗VEGF薬投与後は有意に視力は改善し(logMAR0.4→0.33)、脈絡膜厚も菲薄化した(203→171µm)。それに伴いに中心窩網膜厚も減少した。PCVの病勢には脈絡膜との関連が強く、抗VEGF療法は脈絡膜新生血管を閉塞させることにより活動性を抑制する作用がある。抗VEGF療法により脈絡膜が菲薄化したということから、脈絡膜の肥厚が新生血管の病勢に深く拘っていることが示唆された。
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