研究課題
サルコイドーシスは、全身の諸臓器・組織に、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が形成され、様々な臓器傷害を呈する難治性炎症性疾患である。眼、肺、リンパ節、皮膚の罹患頻度が高く、肝臓、腎臓、脾臓、心臓、神経系、筋肉、骨、唾液腺、子宮などの臓器にも病変が出現する。本邦では、ぶどう膜炎の原因疾患として上位を占め、心臓病変を主因とする死亡の割合が高い。そのため、サルコイドーシスの病因・病態を解明し、サルコイドーシスの適切な診断および治療法を確立することは、非常に有意義なものといえる。したがって本研究では、すでに取得しているゲノム全域に渡る遺伝子変異のデータ(GWASデータ)を有効に活用し、サルコイドーシスの多様な病態形成を規定する遺伝要因の解明を行う。日本人集団を対象にしたGWASデータをもとに、病変部位ごとの層別化解析を実行し、各病変と相関するSNP(一塩基多型)の網羅的なスクリーニング(1次スクリーニング)を実行した。その後、1次スクリーニングによりピックアップされたSNPを対象に、新たな日本人集団を用いて追認試験を実行し、サルコイドーシスの各病変の形成と相関を示すSNPを絞り込んだ(2次スクリーニング)。さらに、2次スクリーニングで絞り込まれたSNPが位置する遺伝子領域の詳細な解析により、各病変の形成に関与する責任SNPを病変ごとに特定した。特定した責任SNPを対象に、責任SNPが位置する遺伝子の機能解析を実行した結果、複数の病変において、責任SNPのリスクアリルが遺伝子の発現量の変動に有意な影響を与える可能性を見出した。本研究の遺伝学的成果により、サルコイドーシスの病態形成のメカニズムが解明されることが期待される。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Jpn J Ophthalmol
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Ophthalmology
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