昨年度に継続してin vivoウサギ水疱性角膜症モデルに細胞密度3000/mm2の培養ヒト角膜内皮細胞シートを移植し、術直後および術翌日の内皮細胞密度減少率、バリア機能のマーカーであるZO-1、細胞接着のマーカーであるN-cadherin、細胞骨格のマーカーであるPhalloidinの発現変化を免疫染色を用いて測定した。インジェクターとして3種類を比較した結果、3種類ともに内皮減少率は10%程度と良好であった。しかし、免疫染色においてDorc社のインジェクターが免疫染色で発現がよく、細胞形態が保たれており、最も良好な結果であった。 上記の結果によって、Dorc社の製品を用いて臨床使用した。Fuchs角膜内皮変性の症例に対する角膜内皮移植(DMEK)を施行し、挿入器具として上記を使用した。術前細胞密度が2600/mm2であった。術中操作に問題なく、合併症もなかった。術後10日目で角膜内皮細胞密度は1500/mm2だったが、角膜浮腫は消失し、良好な術後経過であった。
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