研究課題
本研究の目的は角膜内皮の細胞死をRhoキナーゼ阻害剤がどのように抑制するのかのという作用機序を解明することである。昨年度に引き続き、培養したサルおよびヒトの角膜内皮細胞を紫外線(UV)のより刺激して細胞死を誘導してRhoキナーゼ阻害剤の効果を評価した。特に今年度の成果として、UVなどの細胞障害シグナルに対して、Rhoキナーゼ/MLCの経路が活性化し、それに続いてアクチン線維の収縮による細胞のshrinkageおよび基質からのdetachmentが生じることを明らかにした。さらに、基質からのdetachmentはアポトーシス実行タンパク質であるcaspase3を切断することで活性化して、アポトーシスが進行する。Rhoキナーゼ阻害剤は細胞障害シグナルに対して活性化するRhoキナーゼ/MLCの経路を抑制することでcaspase3の活性化を抑制することを明らかにした。また、caspase3の活性が生じた際にはRhoキナーゼのアイソフォームの一つであるROCK1が切断され細胞のアポトーシス時のblebbingが生じるが、ROCK1の活性化を抑制して、Rhoキナーゼ阻害剤はblebbingを抑制することを確認した。また欧米における最大の角膜内皮障害の原因であるフックス角膜内皮ジストロフィの疾患細胞モデルを世界に先駆けて樹立して、疾患細胞モデルの細胞死をRhoキナーゼ阻害剤が抑制することを明らかにした。このことは現在薬物治療法の存在しないフックス角膜内皮ジストロフィに対する治療法の開発をひらく特記すべき実績である。
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Cornea
巻: 33 ページ: S25-31
10.1097/ICO.0000000000000240.
巻: 33 ページ: S37-41
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http://tissue-engineering-doshisha.jp/index.html
https://researchmap.jp/okumura.n/