研究課題
本研究の目的は黄斑部遺伝性疾患を対象に、臨床診断ならびに、遺伝子治療、薬物治療、網膜色素上皮細胞移植、人工網膜移植を目標とした遺伝子解析を行い、遺伝性網膜疾患治療を推進することである。本研究では、黄斑部遺伝性疾患について、臨床的所見、分子遺伝生物学的所見、双方からの包括的アプローチにより、病態生理に即した治療導入のための準備体制の確立を行った。2か年で集積された総症例数は2015年3月時点で143家系167症例であり、コホートの内訳はオカルト黄斑ジストロフィー64家系74症例、錐体ジストロフィー・錐体桿体ジストロフィー42家系48症例、スターガルト病34家系40症例、ベスト病3家系5症例であった。上記143家系のうち、29家系について分子遺伝学的確定診断が得られ、RP1L1(17家系)、ABCA4(3家系)、BEST1(2家系)、GUCA1A(2家系)、GUCY2D(2家系)、ADAMTS18(1家系)、PDE6C(1家系)、RPGR(1家系)という結果に至った。症例数の比較的多いRP1L1、ABCA4について遺伝子型表現型関連解析が行われた。RP1L1遺伝子異常に起因するオカルト黄斑ジストロフィについては遺伝子変異の種類・部位と臨床像の顕著な関連は示されなかった。一方で、ABCA4遺伝子異常に起因するスターガルト病については、英国モアフィールド眼科病院との連携の元、有意な遺伝子型表現型関連が確認され、重症遺伝子型を有する症例が早期発症・重度進行性の臨床像を呈する事が示された。これらの重症遺伝子型を有する症例については遺伝子治療、薬物治療、網膜色素上皮細胞移植等の臨床治験開始が検討されている。
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