本研究では神経芽腫に対するNKT細胞の抗腫瘍効果、ならびに活性化NKT細胞のADCC(Antibody-dependent cell mediated cytotoxicity)への直接的もしくはNK細胞を介した間接的な関与を明らかにすることを目的とした。 まず、NKT細胞のADCCへの直接的な関与を検討するため、神経芽腫細胞に対するNKT細胞の細胞傷害活性や神経芽腫細胞と共培養したNKT細胞のIFNγ産生を抗GD2抗体存在下に測定した。NKT細胞は単独ではADCCを引き起こさず、また腫瘍認識によるIFNγの産生も認めなかった。 次いでNKT細胞がNK細胞の活性化によりADCCを増強しうるか検討するため、NK細胞、NKT細胞、αGalCerを取り込ませた樹状細胞を共培養し、活性化NKT細胞がNK細胞に及ぼす影響について、Flow cytometryによる表面抗原の解析、定量的RT-PCRによる細胞傷害性顆粒の解析、産生されるサイトカインの測定や抗GD2抗体存在下での細胞傷害活性試験を行った。活性化NKT細胞存在下でNK細胞は活性化し、CD69やIFNγ、Granzyme A・Bの発現が増大した。これよりNKT細胞はNK細胞を活性化し間接的にADCCを増強しうると考えられた。さらにNK細胞の機能増強における活性化NKT細胞由来のサイトカインや細胞間接触の影響を調べるため、transwell assayを行った。この結果NK細胞と活性化NKT細胞の共培養によりIFNγ産生が相乗的に増加すること、またNK細胞活性化にはNKT細胞が産生するサイトカインのみならず、細胞間接触も重要であることが示された。 以上より、NKT細胞はADCCには直接関与しないもののNK細胞を介して間接的にADCCを増強すると考えられ、抗GD2抗体療法とNKT細胞療法の併用の実現可能性が示唆された。
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