研究課題/領域番号 |
25861682
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
安永 能周 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (40596946)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 吻合血管の攣縮 / 皮弁の生着範囲 / 血管平滑筋 / 近赤外線 |
研究実績の概要 |
切断指の再接着や遊離皮弁移植を用いた欠損組織の再建において、吻合血管の攣縮は手術の成否に直結する未解決の問題である。われわれは過去にラットを用いた実験で、近赤外線に毛細血管の拡張作用があることを報告した。本研究は顕微鏡下に吻合可能な直径0.5-1.0mmの血管において、近赤外線のもつ血管拡張作用が吻合血管の攣縮を予防できるかどうか明らかにすることを目的としている。 平成25-27年度に実験系の確立を目標に研究を実施した。当初はラットの腹部に左右対称に2つの遊離皮弁を作成して自家移植し、片側の血管吻合部に近赤外線を照射して皮弁の生着範囲が変化するかどうかを調べた。近赤外線の照射側と非照射側で皮弁の生着領域に有意差を認めなかった。次いで片側の血管吻合部に近赤外線を照射した上で、両側の血管吻合部をepinephrineで攣縮させ、近赤外線が血管吻合部の攣縮による皮弁壊死を予防できるかどうか調べる予定であった。しかしながら、使用した実験系では生着範囲にばらつきが大きく、近赤外線照射の効果を評価できる状況には至らなかった。そのため、研究期間を1年間延長した上で遊離皮弁を使用した実験系から有茎皮弁を使用した実験系に変更し、有茎皮弁の血管茎に近赤外線を照射して、近赤外線が血管収縮剤による血管攣縮を予防できるかどうか、研究を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初はラットの腹部に左右対称に2つの遊離皮弁を作成して自家移植し、片側の血管吻合部に近赤外線を照射して皮弁の生着範囲が変化するかどうかを調べた。近赤外線の照射側と非照射側で皮弁の生着領域に有意差を認めなかった。次いで片側の血管吻合部に近赤外線を照射した上で、両側の血管吻合部をepinephrineで攣縮させ、近赤外線が血管吻合部の攣縮による皮弁壊死を予防できるかどうか調べる予定であった。しかしながら、使用した実験系では生着範囲にばらつきが大きく、近赤外線照射の効果を評価できる状況には至らなかった。そのため、研究期間を1年間延長した上で遊離皮弁を使用した実験系から有茎皮弁を使用した実験系に変更し、有茎皮弁の血管茎に近赤外線を照射して、近赤外線が血管収縮剤による血管攣縮を予防できるかどうか、研究を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた遊離皮弁を使用した実験系では、近赤外線に吻合血管の攣縮を予防できるかどうか、明らかにすることは出来なかった。予想される近赤外線の作用以外に、血管吻合と血管収縮剤という2つの要因が影響していることが原因と考えられた。そのため、研究期間を1年間延長した上で有茎皮弁を使用した実験系に変更し、有茎皮弁の血管茎に近赤外線を照射して、近赤外線が血管収縮剤による血管攣縮を予防できるかどうか、研究を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた遊離皮弁を使用した実験系では予想される結果が得られなかったので、結果報告のための投稿費や旅費の一部を使用せず、残額が生じた。補助事業期間の延長を申請して承認されたため、次年度使用額として繰り越して使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
実験系の変更に伴い、追加で使用する実験動物や消耗品の購入に使用する。また、結果報告のための投稿費や旅費として使用する。
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