研究課題/領域番号 |
25861685
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金澤 成行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (50506243)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | bFGF / ヘパリン / 創傷治癒 |
研究実績の概要 |
bFGFはヘパリンと結合し複合体を作ることでbFGFレセプターを活性化することが、知られている。bFGFとヘパリンの併用による創傷治癒促進効果を明らかにすることが本研究の目的である。 前年度の結果でbFGF単独群と比較して、bFGF・ヘパリン併用群は有意な細胞数の増加、遊走速度の増大を認めた。したがって、本年度は細胞増殖や細胞遊走に関与するタンパクの活性化の変化をウエスタンブロッティング法で調べた。 細胞増殖や生存に関与するタンパクであるERKやAktの活性化の変化であるが、bFGF投与無し群に比べて、bFGF単独投与群(bFGF10ng/ml)では、それぞれのタンパクでリン酸化(活性化)が確認できた。さらに、bFGF/ヘパリン併用群(bFGF10ng/ml・ヘパリン10μg/ml)ではそのリン酸化までの時間の短縮を認めた。さらに、ERK、Aktそれぞれの阻害剤を用いて、これらのタンパクをブロックしてやると、bFGF刺激による細胞増殖が部分的に阻害された。したがって、bFGF刺激による線維芽細胞増殖におけるシグナルにERK、Aktの関与が示唆される結果であった。 次に細胞遊走に関与するタンパクであるJNKの活性化の変化を調べた。bFGF投与無し群に比べて、bFGF単独投与群(bFGF10ng/ml)では、それぞれのタンパクでリン酸化(活性化)が確認できた。さらに、bFGF/ヘパリン併用群(bFGF10ng/ml・ヘパリン10μg/ml)ではそのリン酸化までの時間の短縮を認めた。さらに、JNKの阻害剤を用いて、これらのタンパクをブロックしてやると、bFGF刺激による細胞遊走が部分的に阻害された。したがって、bFGF刺激による線維芽細胞遊走におけるシグナルにJNKの関与が示唆される結果であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定していた、細胞増殖・細胞遊走に関するタンパクの活性化の変化の解析を行うことができた。そして結果としても想定内であった。
|
今後の研究の推進方策 |
糖尿病モデルマウスの皮膚潰瘍におけるbFGF/ヘパリン併用の有効性を明らかにする計画である。11週齢の糖尿病モデルマウス(BKS.Cg-Dock7m+/+Leprdb)を用いて、両側背部に1個ずつ直径1cm大の皮膚欠損を作成する。これに対して左をbFGF単独群(bFGF10μg/ml)として、右をbFGF/ヘパリン併用群(bFGF10μg/ml・ヘパリン10mg/ml)として、0.5ml皮膚欠損部に添加する。さらには、H.E.染色、免疫組織染色法を用いて、bFGF/ヘパリン併用群が糖尿病モデルマウスの線維芽細胞に与えている影響や創傷治癒促進効果を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究が問題なく順調に進んだため、若干の余剰が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の実験の消耗品(試薬類など)にあてる計画である。
|