血管奇形のうち血液貯留型病変では、病変からの大量出血や醜状変形を来たし、生活に著しい制限を生じる。血管奇形は、先天性であるものの、一部の症候群を除き、遺伝性はなく、単発生である。これまでの血管奇形に対する研究成果の多くは、組織免疫化学的手法によるものであり、その病態生理についての分子生物学的な検討は皆無に等しい。この原因として、血管奇形の動物モデルが存在しないことが大きな要因となっている。われわれは、血管奇形の動物モデルとして鶏卵絨毛尿膜(CAM)アッセイに注目し、血管奇形における血管新生をCAMアッセイにより評価し、血管奇形治療法の確立へ結びつけることを目的とした。 動静脈奇形の手術検体を顕微鏡下に細片化して血管のみとし、CAMアッセイを行ったところ、コントロールに比べやや血管新生の程度が大きい傾向が認められた。また、bFGFも試料として用い、高度な血管新生を確認することが出来た。実験を通しての課題としてCAMアッセイの不安定さがあったため、手技の変更、温度管理、湿度管理、清潔操作の徹底、鶏卵納入業者の変更などを行ったが、十分な安定化には至らなかった。
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