cDNAマイクロアレイ解析の結果、正常皮膚と比較してケロイド組織においてMFAP5(microfibrillar associated protein 5)の発現が高いことから、当初、MFAP5の機能解析により、ケロイド形成のメカニズムの解明することを目的にしていた。しかし、本研究の最中にポリフェノールの一種であるレスベラトロールが、ケロイドに対しても線維化抑制効果が示唆されたため、引き続き検討を継続した。現在までの研究により、ケロイド中央部および辺縁部のケロイド由来線維芽細胞は共に、WST-1アッセイの結果、レスベラトロールの濃度依存性に細胞増殖が抑制された。細胞増殖が抑制される原因として、アネキシンVアッセイと細胞周期の解析を行ったところ、レスベラトロール添加によりアポトーシス細胞が増加していた。そのため、レスベラトロールはケロイド由来線維芽細胞のアポトーシスを誘導していることが示唆された。 さらに、アポトーシスの実行因子であるカスパーゼ3について検討したところ、ケロイド中央部および辺縁部のケロイド由来線維芽細胞は共にレスベラトロールを添加することにより、カスパーゼ3活性が増強していた。 現在までの研究により、レスベラトロールのケロイド由来線維芽細胞に対する、線維化抑制効果、細胞増殖抑制、アポトーシス誘導効果が示された。今後、さらなる検討によりケロイド予防や治療への応用が期待できると予想される。
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