研究課題/領域番号 |
25861711
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
畔 熱行 関西医科大学, 医学部, 助教 (20509492)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 氷点下非凍結保存 / 組織保存 / 再接着 / マイクロサージャリー |
研究実績の概要 |
近年、マイクロサージャリーの技術を用いて切断四肢(指趾)の血管吻合を行い、血行再開させることで再接着を行っている。再接着までの間、断端四肢(指趾)は低温保存2~4℃される。再接着可能時間は24時間以内とされ大きな制約があるが、マイナス温度で凍結しない保存庫として新規開発された電圧負荷式冷蔵庫を用いることにより、組織の代謝を下げ保存時間の延長ができる可能性がある。本研究は電圧負荷式冷蔵庫による切断四肢(指趾)保存の可能性を検討するため立案した。また組織の保存ができれば期限切れなどで廃棄されていた血液や、医療材料などにも応用できると考えられる。組織の生着には血流が重要であり供給する血管に着目し研究を行った。近交系F344 ラットの大腿動脈を4℃0Vと-4℃1000V下での保存を行い透過型電子顕微鏡にて血管内皮の構造の観察を行った1日目では血管内皮細胞の形態に差はなく、3日目で4℃0V下での保存の血管内皮細胞は膨大化したが-4℃1000V下での保存では血管内皮細胞の形態が保たれていた。7日目ではともに血管壁から剥離しており生存しないものと考えられた。血管のviabilityを検討した、大動脈をφ2mmに打ち抜き採取を行い、-2℃1000Vと4℃0Vの条件下でDMEM培地にて保存後、生存をcell counting kitを用いてMTTアッセイをおこないviabilityを検討した。1日目で-2℃1000V下での保存の方が有意に生存していた。血管は氷点下におくことで生存が延長する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管における氷点下非凍結保存での組織保存の方がviabirityが高いと有意に差が出ている、今後の追加実験により期間の延長に最適な条件が絞り込めると予想できる。血管のバイパスを行い差が出てくる保存時期の検討がまだ行われていない。
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今後の研究の推進方策 |
一回の組織採取数を増やし、組織保存期間の延長限界をMTTアッセイでのviabilityの検討で行う。実際のバイパス血管や組織の大きさを拡大し保存が可能かを検討する。血管内皮の構造を操作型電子顕微鏡で比較検討を行う。 血管以外の組織、血液、筋肉、骨、皮膚などの保存を行い評価していく、複合組織と単組織での違いなども検討していく。 血管のバイパスを行ない差が出てくる保存時期の検討を行う。この検討によるテクニカルエラーを最小限にする
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次年度使用額が生じた理由 |
データの蓄積のみで成果発表を行っていない、そのためそれに関連する旅費や論文校閲などの費用が発生しなかった。消耗品の物品が現在当研究施設にあるもので代用可能なものがあり使用したため物品費を削減できた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後検査における消耗品が追加で必要となってくるため購入を検討している、成果発表のための旅費や論文校閲に経費を使用する
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