研究課題/領域番号 |
25861715
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大島 拓 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50375789)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 頭部外傷 / 再生 |
研究概要 |
本研究は,頭部外傷モデルマウスを用いて重症頭部外傷におけるTNFαの治療効果を検証し,この回復機構のシグナル伝達経路を明らかにする事を目的としている.そのために,以下の実験を予定していた.まず,TNFα(-/-)マウスおよびWTマウスを用いて,CCI法による左側頭部外傷モデルとshamを作成する.事前にcomposite neuroscore,rotarod testによる神経機能評価を行い,実験処置後も経時的に評価を行い各群を比較する.処置から28日後, Biotin dextran amine(BDA)を健側の大脳皮質に注入し,神経線維の順行性染色を行い,各群を比較することでsproutingの有無を評価する.TNFαの関与を明確にするための介入実験として,頭部外傷モデルのTNFα(-/-)マウスに対するTNFαの投与,WTマウスに対するTNFαの中和抗体,およびTNFαの投与を行う.また, TNFR1(-/-)マウス,TNFR2(-/-)マウスで評価を行い,神経機能の回復に関与が強いreceptorを解析し,その先のシグナル伝達経路を解析することで,新たな治療標的を探る.平成25年度は新たな実験環境で過去に行った実験の再現も計画したため,環境の整備とマウスに対する手術手技の習熟に多くの時間を費やした.特にマウスの手術については,以前の外傷作成手技に加え,長期にわたりosmotic pumpを留置する必要がある事から,より手技の精度を向上させる必要があった.これまでのところマウスの手術に最も時間をかけているが,安定して観察期間を耐えうる手技の習熟に至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の研究計画を実行するにあたり,前回の研究から5年あまりの時間が経過しており,設備や機器も一新され新たな環境で実験を再開する事となったため.そのため、新しい環境で過去に行った実験を改めて行い,再現性を確認する必要性があると判断した.そのためには,まずは研究に必要な実験系の再構築を行う事となった.具体的には設備および機材の確保と,実験手技,マウスの飼育・繁殖手順の習熟である.特に手術手技については新たな手技も加わり,より高い技術が必要となった.しかしながら,未だその精度に達しておらず,手術手技が確立しないためその先の研究に至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
現在の所,手術主義の確立が最大の鍵となる.手技が安定するまで方法を微調整したり,繰り返し行う必要があると考えているが,解決に至らない場合は介入方法を再検討する必要がある.また,同時に手術に用いる器具等についても再検討する必要性が考えられる.手術手技の安定を待つ間、標本作製や組織染色についても手技の再確認をしておく必要があり,平行して実施していく.こうする事で,手術手技が安定次第速やかに実験を推進できるものと考えられる.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は実験環境の整備や手術手技の習熟に時間を費やす事となった.このため,本実験で新たに購入する予定であった実験器具の購入を控えており,準備が整った段階での購入を検討している. 平成25年度に開始する予定であった実験を実行に移す.外傷作成も本格化するためにimpactorも購入する予定であり,薬剤注入用のosmotic pumpも購入することになり,各種免疫染色のための試薬類も必要となる.すなわち,当初1年目に予定していた支出の多くが2年目に移行した形となる.
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